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キャリア・教育

「保護者の9割超」が関わる夏休みの"自由研究"がちっとも自由ではない…もはや親の宿題、「学校がやめられない」理由

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昆虫の観察をする家族
最も大変な夏休みの宿題といえば「自由研究・工作」と答える親子は多い(写真:maroke / PIXTA)
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私が以前勤務した小学校では、低学年の夏休み作品展を、児童や保護者が見る行事として実施していた。人に見られる以上、保護者には「わが子の作品だけ見劣りさせたくない」という圧力がかかる。子どもらしい素朴な作品より、大人の手が入った見栄えのよい作品が目立つ。親も、手を出しすぎないほうがよいとわかっていても、放っておきにくい。

私が学年主任を務めていた際、学年の作品展のあり方を見直し、全員の作品を一律に公開する形を取りやめたことがある。

その際、保護者からは、夏休みの負担が軽くなったことを歓迎する声が複数寄せられた。子どもの表現を見る機会に価値がないという話ではない。希望する子が展示し、見たい人が見るのであればよい。

しかし、全員が作品を作り、全員が公開する必要まではない。少なくともその実践では、強い需要があったから行事が続いていたというより、従来の形を見直す機会がなかったために続いていた面があったのではないか。

おすすめの自由研究は「特にない」、大人の社会につながる学校へ

「いこーよ総研」が25年7月、全国の「いこーよ」会員344人を対象に行ったインターネット調査では、予定している自由研究のテーマは、「工作・ものづくり」が51%で最も多く、「生き物の観察」30%、「絵・アート」27%、「実験」と「料理・手芸」が各19%だった。

テーマの決め方では、「子ども自身が興味のあることで決める」が84%を占めた。ただし、特定サービスの会員を対象とした調査であり、全国の子ども全体の傾向とは断定できない。

では、教師として、おすすめの自由研究は何か。私には、特にない。やりたいことがある子が、それをやればよい。クワガタを採りたいなら採ればよい。石を集めたいなら集めればよい。料理を作りたいなら作ればよい。ただし、それを必ず研究にしたり、模造紙にまとめたりする必要はない。

虫を採っているうちに、「時間帯によって採れる種類が違うのではないか」と本人が気になり、自分で記録したくなったなら、そこから研究が始まる。石を集めているうちに、色や形の違いを分類したくなったなら、調べればよい。

先に「研究らしい形」を与えるのではない。好きなことに没頭した先で、本人に問いが生まれ、確かめたくなったときだけ研究にすればよいのである。

26年のベネッセによる調査では、前年の夏休みに「任意制の宿題があった」と答えた保護者は43.0%だった。

任意制の課題として挙げられたものでは「自由研究・工作」が58.1%で最も多い。また、任意制の宿題に「賛成」と答えた保護者は51.1%で、「反対」の15.0%を大きく上回った。

少なくとも、自由研究を全員一律の必須課題にしない学校は、すでに一定数存在する。大人の社会では、趣味を持つことと、それを公表することは別である。

旅行をしても、本を読んでも、昆虫を採っても、全員が報告書を提出させられるわけではない。学校も、大人の社会につながる形で設計すべきだ。学校がすべきなのは、全員に完成品を提出させることではない。

授業の中で、虫、植物、実験、工作、地域の自然や文化など、多様な世界に出会う機会を保障する。そして、夏休みにさらにやりたい子には、相談に乗り、必要なら発表や展示の場を用意する。

出会いの機会は学校が保障する、続けるかどうかは本人が選ぶ。親が一緒に楽しみたいなら手伝ってよい、ただし、家庭の協力を義務として要求しない。提出も発表も強制しない。

自由研究を自由にする方法は、複雑ではない。やりたい子はやる、やりたくない子はやらない。発表したい子は発表する、人に見せたくない子は自分だけで楽しむ。それだけである。

自由研究の価値を守るために必要なのは、自由研究を全廃することではない。夏休みという余白を、課題で埋め尽くさないこと。子どもに余白を渡し、その時間を自分なりに活用する練習の機会にすること。そして「やらない自由」を認め、義務提出をゼロにすることなのである。

東洋経済education×ICTでは、小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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