では、これらを一般投資家はどう考えればいいのだろうか。短期的には外部ショックと需給崩壊で「捨て値」まで売られたが、中長期では NAND市況の回復、AI時代のストレージ需要増、そしてキオクシアHDの技術優位という3つの構造要因は変わっていない。よって、今回の急落は外部ショックと需給崩壊が重なった過剰反応であり、中長期の企業価値とは無関係だと考えるべきだ。「捨て値」の投げ売り局面は、むしろ中長期投資の好機ではないか。
また、キオクシアHDはADR(アメリカ預託証券)を用いた形での上場を進めている。アメリカの半導体ETF(上場投資信託)や年金基金は巨大であり、今後の資金流入の構造的な追い風も期待できる。つまり、キオクシアHDの相場は終わっていない。
「東芝やベインの大量売却に買い向かって、アメリカ系・欧州系のロングオンリー筋やSKハイニックスはババをつかんだ」などという向きがいるが、そんな単純なものではないのだ。
メガバンクに期待、中東波乱終了・為替安定で10月から業績相場へ
さて、相場はキオクシアHDだけではない。相場全体を俯瞰するとインフレ相場も粛々と続いている。その中で、筆者が「押し目買い一貫推奨」で来たメガバンクは、今後の収益拡大がほぼ確実視される数少ない大型セクターとして再度確認すべきだと考える。
海外収益の厚みで安定感が高く、長期の基盤を重視するなら三菱UFJフィナンシャル・グループ、利上げメリットが最も大きく、増配姿勢も明確で、中期の成長と還元を狙うなら三井住友フィナンシャルグループ、さらに、決算の勢いが突出しており、短期のモメンタムを重視するなら、みずほフィナンシャルグループだ。
最後に加えれば、不透明な中東情勢は、原油市場の国際的指標であるWTI原油先物のチャートで判断すればよい。先物価格は7月に入って、6月12日に急落した「マド」の上の値83ドル20ドル前後の水準を突破、「マド埋め」を果たしたことで、1バレル=100ドル台の再来もあるかの勢いだった。だが、今後は前出のマドの下限1バレル=82.42ドルを下回ると、「逆マド埋め」になる。これは中東戦争が終わるサインだ。
また為替は、前回行った重要なポイントで介入できずに1ドル=164円台にさしかかる局面があったが、その後、満を持した見事な介入が行われている。これで1ドル=155円~160円が安定すれば、業績相場が10月から動き出す。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

