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"防災モール"のパイオニアがなぜ…「イオンモール熊本」爆発で業界激震 デベロッパー社員が語る「商業施設に潜む"死角"」

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イオンモール熊本
熊本での地震発生後に爆発が起こり、建物が激しく損傷した「イオンモール熊本」(写真:時事)
  • 鈴木 裕輔 商業施設デベロッパー&リサーチャー
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さらに、現場の心理的な要因も大きい。前述の通り、年2回の避難訓練が義務付けられたモールでは、火災での避難や消火の訓練は徹底して行われているが、「ガス漏れ」を想定した訓練はシチュエーション的に難しく、実施している施設は少ないのではないだろうか。

地震発生直後、現場では炎や黒煙が上がっていたわけではなかった。凄まじい火災の煙が見えていれば誰も戻らなかっただろうが、今回は視覚的な危険がなかったために「少し荷物とお金を取ってくるくらいなら大丈夫だろう」という心理が働いても無理はない。戻ってしまった方を責めることは誰にもできないだろう。

普通にしていても汗が滴るような猛暑の中、懸命に捜索活動を続ける消防隊員たち(画像:総務省消防庁の公式X @FDMA_JAPANより)

「絶対に戻らない」ための現実的なルール作りへ

今回のガス爆発の原因や、それを受けた対策については、まだ原因究明がなされていないので、ここでは論じない。

本稿では、従業員の身を守るために、何ができるのかを考えたい。

たとえ強固な建物であっても、災害時には想定外の事態が起こりうる。どんなにコストをかけても、災害を100%防ぐことはできない。だからこそ、我々はその前提に立ち、原因究明を徹底し、業界全体で教訓を共有する必要がある。

業界のリーダーであるイオンには、今回の件についても積極的な情報開示が求められており、それが業界全体の安全基準の底上げにつながるはずだ。

そして何より、「一旦避難したら絶対に戻らない」という再発防止策を徹底するためには、戻らなくても済む仕組みの構築が急務である。

例えば、百貨店の従業員が始業時、従業員用のバックヤードで着替えた後、私物を透明なバッグに入れて持ち歩くように、SCでも車の鍵や免許証、財布といった最低限の貴重品は、常に専用のポシェットに入れて身につけた状態で勤務させるなど、災害時にはすぐに避難できるようなルール作りが現実的ではないだろうか。

今回の爆破事故は、商業施設業界における「安全神話」を根底から揺るがした。「建物が崩れなければ安全」という前提は崩れ去り、巨大モールは「避難後の従業員の行動心理」という新たな死角と向き合うことになった。

失われた命を無駄にしないためにも、筆者も含め、業界全体で実効性のある防災マニュアルの再構築を急がなければならない。

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