SC内で地震に遭ったら、まずは揺れが収まるのを待ち、従業員の誘導に従って速やかに建物の外へ避難するのが大事だ。
また、SC内で危険な場所はどこかというと、お店のウインドウなどガラスがあるところやエレベーター、上から落下物がある恐れのある吹き抜け部分だ。エスカレーターは前述の通り落下の危険性があるので、階段がわりにするのは絶対にやめてほしい。
ガラスの破損や落下物の恐れがない場所や、建物の躯体に接合し、倒れる恐れのない壁(例えば構造壁)側に避難し、頭を守って揺れが収まるのを待つのが安全だろう。
熊本での地震発生時、モール内には約3000人の来店客と約1500人の従業員がいたという。これだけの人数をパニックに陥らせず、屋外へ全員避難させたモール側の誘導体制について、筆者は非常に高く評価している。
実は、あのような巨大なモールであっても、平日であればデベロッパー側の事務所スタッフ(テナント従業員や清掃・警備スタッフを除いたモールの従業員)は10人前後しかいないことが多い。そのため、避難誘導はテナントの従業員との連携が不可欠になる。
大体のSCの避難マニュアルでは、各店舗の従業員が自店や近くの通路にいる客を避難口まで誘導する役割を担う。一方、モールの従業員は、トイレや授乳室、従業員休憩室などの共有部に取り残された人がいないかを確認して、最後に自分たちも避難するという役割分担ができているのだ。
商業施設において、モール従業員の安全確保の優先順位は「第1にお客様、次にテナント従業員、最後に自社の社員」である。
商業施設では消防法で年2回の避難訓練が義務付けられており、イオンモールも火災や消火の訓練をしっかりと実施していたからこそ、客の避難誘導に関して極めて高いレベルで完了していた。
「全従業員2700人」の安否確認がスピーディに行われた
さらに驚くべきは、イオンがテナントも含めた全従業員に向けて安否確認のメールを一斉送信していたことだ。近年は個人情報保護の観点から、デベロッパー側はテナントの店長クラスの連絡先しか把握していないことも多い。有事の際にはテナントの店長または副店長経由で、各従業員の安否を聞き取る形をとるデベロッパーもまだ多いだろう。
全従業員に直接メールを送れる体制を構築し、同店の約2700人という人数の安否を即座に把握できた点は、徹底された危機管理体制の賜物だと思う。

