都市部の駅ビルなどのSCではスペースの関係で備蓄品の用意に限界があるが、イオンモールやららぽーとのような郊外型の大型モールは広いスペースを有しており、数千人規模の客を想定した防災備蓄品を用意しているケースが多い。
本来であれば、そうした安全であるはずの防災拠点で爆発事故が起きたこと、しかもそれが業界のリーダー的存在であるイオンモールで起きたことが、我々にとって大きな衝撃なのだ。
ちなみにイオンは18年、福島県いわき市に、「防災モール」としての機能を持たせた大型SC「イオンモールいわき小名浜」を開業している。非常用の電源設備や飲料水を確保できる水槽、災害用簡易トイレなどを備えているという。まさに防災モールのパイオニアだった。
今回のイオンモール熊本にしても、東日本大震災の教訓から経産省が推し進めた「大規模施設のLPガス化政策」により、防災拠点として再整備されたモールだった。それだけに今回の爆発事故はイオンのみならず、経産省にとっても”想定外の事態”であったことは、30日、現場にいち早く経産省の職員が現地調査に入ったことからも明らかだ。
イオンの避難誘導は「完璧に近かった」
今回、従業員による速やかな誘導のおかげで、来店客が爆発に巻き込まれることはなかった。SCは「防災拠点」にもなっているため、「このままここにいたほうが安全なのではないか」と考える人もいるかもしれない。しかし、建物の安全性が確認されるまでは、いったん外へ避難するのが鉄則であるため、館内に客をとどめなかったのは正しい判断である。
近年のショッピングモールは、建物全体が上から押し潰されるような「パンケーキクラッシュ」はまず起きない構造になっている。しかし地震の場合、大きな本震が来た後に余震が続くことで、徐々に建物や設備がダメージを受け損害が拡大する例も多い。
実際に東日本大震災のときには、東北にあるイオンの3施設で計4機のエスカレーターが落下する事故が起こっている。施設内の安全確認とは、消防や警察、建築・設備関係者等を動員し、総合的な判断をする必要があり、それには一定の時間が必要になるのだ。

