そして24年1月、杏さんの中受が始まった。首都圏の中受は1月の埼玉・千葉の入試を皮切りに、2月1日からの東京・神奈川の入試まで続く。
杏さんは埼玉3校、東京2校の計5校を受験し、恵さんが付き添った。
吹雪で飛行機が欠航する可能性も考え①最寄りの空港から羽田空港②新千歳空港から羽田空港③函館から北海道新幹線で陸路東京入りの3ルートを計画した。
ホテルは前の年の6月ごろに予約
ホテルは前の年の6月ごろに、東横インを予約。埼玉受験は大宮に1週間、東京受験は赤羽に5日間宿泊した。ギリギリまで受験校を迷ったので、宿泊費が抑えられて、東にも西にもアクセスしやすい赤羽を選んだという。
「すべて東横インだったのでリモコンの場所、ベッド下のスーツケース収納、Wi-Fiの仕様などが同じで、スムーズなのが良かったです。新鮮さはありませんが……」(竜也さん)
計12日間の滞在で、宿泊費と交通費、その他の滞在費で25万円ほどかかった。
1月の埼玉受験は、3校ともすべて合格。志望校を変更して臨んだ、2月の東京受験も2回目の挑戦で合格した。今、杏さんは東京の女子校に通い、友達との学校生活を楽しんでいる。
「合格は、最後までコツコツと勉強を続けた長女の努力に尽きます」と、竜也さんは言う。
「つらかったけれど、最後までがんばった」と杏さん。
これから遠隔地から首都圏受験を目指す家庭に対して、竜也さんは、こうアドバイスする。
「遠隔地からは大変だと思いますが、ストイックさと真面目さ、保護者が支える覚悟があれば、都市部での受験も通用すると思います。塾に頼りたくなったときは『塾通いがないのはメリット』と自分に言い聞かせることです。費用も安く、子どもに合った勉強ができるのが“塾なし受験”のメリットです」
遠隔地から首都圏の学校を受験した情報は少ない。ただ、家族の転勤が子どもの中学校進学と重なったとき、中受を検討する家庭はあるだろう。竜也さんは自身の体験を何かの形で発信したいと考えている。

