破産した三ッ星靴下の債権者集会が開かれてからひと月後の26年5月、今度は同じ市内にあった福西メリヤスが事業を停止した。その後、関連2社とともに破産を申請した。負債総額はグループ3社で合計24億2000万円に及んだ。
福西メリヤスも地場産業を支える有力企業だった。だが、同業との競合に危機感を抱き、いち早く靴下からパンティストッキング(パンスト)に軸足を移したことでも知られた。
60年代以降、女性の社会進出とともにパンスト需要が拡大し、この読みはピタリと当たった。大手メーカーから受託したOEM(相手先ブランドによる生産)で、国内有数のパンストメーカーの地位を確立し、90年代前半にはグループ売上高は100億円近くに迫った。
だが、結果的にパンストも靴下と同じ構造不況に陥り、安価な輸入品に押されていった。また、カジュアル化とパンツルックの広まりでさらに需要は縮小した。
その後の業績はピーク時から見劣りする業績水準に終始し、赤字決算も散見された。タイツやレギンス、機能性を重視した新商品開発に命運をかけて売上回復に取り組んだが、再建は叶わず、突然事業をストップした。
福西メリヤスの突然の事業停止に、金融機関の担当者は「寝耳に水だった」と口をそろえる。売上高は大きく減少したとはいえ、福西メリヤスは過去の利益の蓄積もあり、内部留保は厚かったとみられていたからだ。だが、グループ企業などへの債務負担が重く、財務内容は見た目の数字以上に傷んでいたようだ。
奈良の靴下関連産業、社数は東京を上回り全国トップ
東京商工リサーチの企業データベースで、奈良県の「靴下・ストッキング」を扱う企業は142社ある。これは東京都の141社を1社上回り、全国トップの企業数だ。このうち、製造業は110社と圧倒的で、卸売業16社、小売業11社と続く。だが、売上高10億円以上はわずか6社にとどまる。売上高は最大でも約31億円で、平均3億500万円と中小・零細企業に支えられた産業でもあることを示している。
往時の勢いを失ったとはいえ、三ッ星靴下の売上高は約8億円、福西メリヤスは約12億円をあげていた。規模よりも、地元産業を牽引した2社の経営破綻が地元に与えたインパクトは小さくない。

