全国的に地場産業の斜陽化や衰退が叫ばれて久しいが、その特効薬はなかなか見出せない。人口減少が進む地域では、産業空洞化と職人や技術の担い手不足が同時進行し、負のスパイラルがさらに拡大している。
ただ、こうした危機的状況の中で、奈良県の靴下産業には変化の兆しも出ている。靴下は消耗品で、コストが重視され生産コストの安い海外生産一辺倒だったが、県内では品質や機能性に付加価値を見出したメーカーが出現している。従来の下請けやOEMから脱却し、徹底して素材や製法、デザインにこだわった靴下づくりに取り組んでいる。
奈良土産として人気化
奈良県広陵町は認定ブランド「広陵くつした」を創設し、生産工程などで一定の審査基準を満たした商品だけのブランド化を推進している。これを受け、こだわりの品質と商品を求める全国の消費者も増え、奈良土産として人気も上昇している。
高付加価値と地域ブランドの創出は、地場産業が浮上するための定石で、避けて通れない課題だ。また、これにとどまらず、縫製機械から加工機械メーカーに転換した上場企業のように、ノウハウを生かして他分野に進出できれば新たな需要を呼び込むこともできる。
疲弊し、衰退する地場産業に差し込む一筋の光明になるのか。官民一体となった取り組みが不可欠だが、残された時間はそう長くない。

