アラン氏は、一部の事業者が将来的な設備能力を実際以上に大きく見せているとも批判。
「こうした『ブラガワット(誇張された電力容量)』は誤解を生む。実際には、データセンターが公表された能力の半分程度に達するまでにも何年もかかる」と明かした。
テラコは現在、南アフリカの送電網から電力供給を受け、非常用としてディーゼル発電機を所有。フリーステート州では120MWの太陽光発電所を建設中で、来年の稼働開始後は余剰電力を送電網にも供給する予定だ。
同社は来年末までに使用電力の70%を再生可能エネルギーで賄い、35年までに100%再生可能エネルギー化を目指している。
政府は経済成長に必須と強調
南アでは、データセンターがクリーンエネルギーを利用することが、電力や水資源への負担を軽減する上で重要になるだろう。
18年には、貯水池の水位低下によりケープタウン市が「デイ・ゼロ(蛇口から水が出なくなる日)」の到来を警告し、厳しい節水措置を導入した。また23年には老朽化した電力インフラに需要が追いつかず、政府は全国的な計画停電をほぼ毎日実施せざるを得なくなった局面もあった。
ただし、この状況は現在かなり改善している。国営電力会社エスコムは、トムソン・ロイター財団に対し、現時点でデータセンター需要による送電網への大きな圧力はなく「既存需要には十分対応できている」と回答した。
マラツィ通信・デジタル技術相も、データセンターが電力や水資源の競合を激化させるとの懸念を政府は重く受け止めていると述べた。
その上で、負荷の大きい処理作業を電力需要の少ない時間帯に実行することや、水消費を大幅に抑える閉ループ液体冷却システムの採用など、業界内では既に対策の導入が加速しつつあると説明した。
南アは環境面で持続可能なデータセンターの推進を国家方針としており、マラツィ氏は地域社会との公平性を重視した「公正なエネルギー移行」が国としての重要な目標だと強調した。
それを踏まえて同氏は「データセンターは経済競争力の維持に不可欠だ。金融サービスやクラウドコンピューティング、さらには今後10年間の経済活動を左右するAIシステムを支える基盤であり、雇用創出にもつながる幅広いデジタルエコシステムを支えている」と述べた。
一方、市民団体はデータセンター建設に関する情報公開や地域住民との協議の拡充を求めている。
米データセンター大手エクイニクスによる新施設計画をケープタウン市が先週承認したことについても、一部の活動家から批判の声が上がった。
テクノロジーの社会的責任を訴える非営利団体フォックスグローブでAIインフラ問題を担当するダニエル・ハートフォード氏は「まるでゴールドラッシュのような状況になっているのが懸念を誘う一因だ」と話す。
フォックスグローブは、施設の水使用量に関する情報が十分開示されていないとして、エクイニクスの計画に反対している。
ハートフォード氏は「国内の電力需要を考えれば、これほどエネルギー集約的な産業が成長する際には、何を優先するのかという議論が必要になる」と訴えた。

