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「AI・半導体ブーム、日本株ブームはまだ続いている」と主張する人々へ、今は「リーマンショックとは違う形のバブル」が静かに崩壊している

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日本にも期待を寄せるエヌビディアのジェンスン・ファンCEO。日本株の調整は一時的で終わるのか(写真:ブルームバーグ)
  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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競馬である。

この2週間は、馬産地としての北海道にとって、最重要な期間だった。

7月13~14日は、いまや世界一のレベルと言われる、日本競走馬協会が主催するセレクトセール。今年も2日間の売り上げ総額が史上最高を更新し、334億8400万円となった。1歳馬の1頭平均額は7064万円、1億円超えは45頭、最高額は4億2000万円だった。

一方、20~21日は、日高軽種馬農業協同組合が主催するセレクションセールが新ひだか町で行われた。こちらは、総額52億5680万円の売り上げで、対象はすべて1歳馬で、平均1954万円、最高額は8000万円だった。まさに、昨年のテレビドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』を地で行く、日本競馬の「支配者」であるノーザンファーム・社台ファーム系のセールと、日高の生産者が集まって頑張る、日高のセールの対比となった。

ただ、いちばん興味深いのは、自分が生産者だとして、もし、どちらにも出せる立場にあれば、どちらのセリにどの馬を出すか?という点だ。前者のセレクトセールで、超金持ち馬主に、高い値段でバンバン入札してもらって価格を吊り上げて欲しいが、しかし、ノーザンファームのまばゆい馬たちの間で、冴えなく見えて誰も入札してくれないかもしれない。

一方、セレクションセールでは目立っていいが、いちばん高くても1億円ビッド(入札)するような馬主は来ていないから、「結局安くしか売れないのでは?」と心配になる。実際、今年は、近親に凱旋門賞馬エネイブルのいるキタサンブラック産駒の牡馬は、4000万円スタートで入札者がおらず、主取り(売主が引き取ること)となった。

ところで、生産者にとっては、生産した馬に行先の選択肢はおおむね3つで、セリに出す、庭先取引をする(個別に取引する)、自分のところで保有し続ける(オーナーブリーダーとして)。庭先取引というのは、20世紀までは主流で、相対で個別に取引することだが、世界の一流生産国に倣(なら)って、21世紀にはセリが中心となった。

ただ、庭先取引にもメリットがあり、信頼できる馬主に持ってもらえる、自分が売りたい馬主に売れるということがある。その典型がクラブ馬主、いわゆる一口馬主で、その場合は、売った後の馬の行方もかなりの程度、生産者がコントロールできる。

特に牝馬の場合は、多くが、生産者が格安の値段で買い戻すことになっており、手元に残せる。だから、繁殖牝馬として残したい良血の牧場の宝のような血統でも一口馬主クラブには売却でき、一定のキャッシュアウトができ、かつ次の世代の生産の基礎も残せる、という生産者にとってはいいことづくめである。以前も指摘したが、牡馬は、ダービー馬を所有したいという超有力馬主が多いため、超良血の牡馬はセリで非常に高く売れることが多いので、セレクトセールは多くが牡馬である。

となると、超良血牝馬がセリに出てきたときに、買う側としては、「うん?何か問題があるのかな?あるいは資金繰りに相当困っているのかな?」などと疑問を持つことになる。ただ、ノーザンファームや社台ファームのように馬が多すぎて困っている場合は、牝馬でも出てくることが多く、ただし、それは繁殖牝馬が中心のセリであるミックスセールで出てくることが多い。こういう牝馬はお買い得である(繁殖牝馬の多くは有名種牡馬の仔を受胎した状態で売られる)。

一方、買う側、馬主側としては、前者のセレクトセールで買うか、後者のセレクションセールにするか、は悩ましいところで、予算制約がまったくないように見える藤田晋氏や金子真人氏なら、セレクトで一番気に入った馬を金額に関係なく買ったらいいが、なけなしの資産を全力で投入して毎年1頭だけ買うような馬主にとってはどうなのだろうか。突然、ノーザンの超良血を一生に一度、2億円で買ったとしても、毎年何頭も数億円の馬を買っている大馬主のはざまで、ノーザンファームに相手にもされず、自分の馬は冷遇されてしまうのではないか、という不安も頭をもたげる。

これは、部外者の私の主観だが、あまりにノーザンファーム(社台ファームもそうだが)という生産者が馬主に対して圧倒的に強い立場にあるため、そういう非効率的なことは起きないと考える。どんな馬主にとっても、ノーザンファーム抜きには、いいレースを期待することはできない。育成も調教も、福島の天栄という外厩でやってもらえるし、調教師も一流、騎手もルメールを乗せてくれる可能性が高まるし、引退後も繋養してくれる。だから、すべては、ノーザンファームのいいように決められることになるのだ。

それでは、すべて持っていかれるような気がするが、そうではない。ノーザンファームが日本競馬のほぼすべてであるからこそ、ノーザンは、馬優先主義で、その馬が最高に活躍でき、引退後も最高に価値を持つようにやることが、彼ら自身の一番望むことなので、馬主にとってもほぼベストになるのである。

ただ「車はトヨタだけ、馬はノーザンだけ」になってしまうと、長期的には、日本にとっては良くないので、その話はまたいつか。

凱旋門賞よりもランキング上位の英「KG6世&QES」に注目!

この週末は、現地時間の25日、イギリス・アスコット競馬場で、欧州中距離路線の最高峰とされるキングジョージVI世&クイーンエリザベスステークス(KG6世&QES、3歳上・英G1・芝2390m)が行われる。社台ファーム生産馬のマスカレードボール(牡4、美浦・手塚貴久厩舎、社台レースホースという社台の一口クラブが馬主)が、カランダガンを倒して、ジャパンカップの雪辱を果たすかどうかが焦点だ。

現地の馬場は乾いていて、日本馬にチャンスと言われているが、硬い馬場はカランダガンの最も得意とするところであり、欧州の硬い馬場では、あちらに分があるか。このレースは、国際競馬統括機関連盟が認定する「2025年世界のトップ100G1競走」で、第4位であり、有名なフランスの凱旋門賞は第6位であり、凱旋門賞よりも価値の高いレースなのである。なんとか頑張って勝ってほしい。

※ 次回の筆者はかんべえ(吉崎達彦)さんで、掲載は8月1日(土)の予定です(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)。

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