「柿の種」の製法は、発売以来大きくは変わっていないらしい。ふっくらした空洞を生み出すには、生地の厚さや焼き上がる温度など、細かな調整と技術が求められる。また、米粉は季節によって水分量が異なるため、社内の食味検査員が1時間に1回品質を確認するという徹底ぶりだ。差別化のポイントをピーナッツではなく、真似されにくい食感へと移すことで、70%という堅固なシェアを守り抜く狙いがあった。
新商品で「おつまみ」以外の食シーンを開拓
さて、1980年代後半に起きたビールの「ドライ戦争」により、「柿の種」は「ビールのおつまみ」という強いイメージが確立された。このとき売り上げは増加したが、時の流れとともに別の課題が浮かび上がってきた。それは、近年のビール離れによる顧客の高齢化だ。
現代は飲酒量の減少が進み、1992年から2023年の約30年の間で、成人1人当たりの酒類消費数量が約25.7%減少している(※1)。加えて、若年層を中心にノンアルコール需要が高まり、2023年には10年前の1.4倍以上の市場規模となった(※2)。
主要な購入者層が50代以上の男性、あるいはその家族で固定化されていた「亀田の柿の種」にとって、従来のおつまみ需要による顧客層の拡大は、あまり期待できない状態にあると言わざるを得ない。この状況に対し、同社が次に立てた戦略は、新たな食シーンの開拓だった。
2009年、亀田製菓は明治製菓とコラボレーションし、「亀田の柿の種チョコ&アーモンド」を期間限定で発売した。「柿の種」をミルクチョコレートでコーティングし、ピーナッツの代わりにアーモンドを合わせた商品で、20~30代のおやつ需要を狙ったものだ。
2024年には、新たな定番商品「亀田の柿の種 うましお」を発売。ガーリックやネギをきかせた、特製の旨みブレンドオイルを追いがけし、子どもから大人まで楽しめるフレーバーを意識している。
「辛さを控えめにしながら旨みをしっかりきかせ、幅広い世代が気軽に楽しめる、スナック感覚で食べられる商品として開発しました」(児浦さん)

