言うは易しだが、実際に比率を変えるのはそう簡単な話ではない。賞味期限への影響や製造ラインの調整など、実務面で超えるべきハードルがいくつもあった。その上、社内には「本当に変えていいのか……?」という慎重な声も残っていた。けれど、熱意ある消費者の25万票は、決して無視できない。翌年の2020年、新黄金比率である「7対3」での製造が始まった。比率変更から6年が経つ現在、出荷金額は変更前と比較して約10%伸長している。
「カリッと」食感でシェアを死守
その後も、「柿の種」は時代に合わせて、ブランドの姿を変え続けている。象徴的なのが、2024年に行われたパッケージのリニューアルだ。長年登場していたオリジナルキャラクターは姿を消し、代わりに「カリッと食感」を強調する、シンプルなデザインへと生まれ変わった。
その理由は、他社との差別化ポイントにある。亀田製菓は業界で先陣を切って 、「ピーナッツ入り柿の種」を販売したメーカーだ。その後、1977年(昭和52年)にフレッシュパック(個包装)を導入したことで、いつでも新鮮で風味豊かなピーナッツが味わえることを、長年の強みとしていた。しかし、競合各社がピーナッツ入り商品を追随して発売するようになったことで、そのインパクトが失われつつあったのだ。
「改めてお客様に商品の魅力について伺ってみると、『柿の種』の空洞が生み出す、カリッとした食感こそが唯一無二のポイントだ、という声が多く挙がりました。そこで、その点をしっかり伝えていこうと、パッケージの情報を思い切って絞り込んだんです」(児浦さん)

