そこで政界関係者が注目するのが、参議院の勢力図だ。参院の与党会派は計120議席で、みらい会派の2議席を加えても過半数(124)に2議席不足している。このため、与党は無所属議員に協力を働きかけており、現時点で「水面下の交渉で、2議員の取り込みが確実で、なんとか過半数は確保できる」(同)との見方が広がる。
参院で否決されても、与党は衆院で3分の2以上の賛成による「再可決」が可能。維新は「いざとなれば再可決すればいい」(幹部)と開き直る。ただ、自民党内には「数を頼んでそんなことをすれば、国民の批判は避けられない」(閣僚経験者)という慎重論も少なくない。
特別国会は2回の会期延長が可能で、再延長の選択肢も残される。しかし、「高市首相はなんとしても25日までに『副首都』や政府提出の積み残し法案を成立させるべきだとの考え」(官邸筋)とされる。「国会審議が続く限り、野党から高市首相の抱える一連の疑惑が追及され、内閣支持率のさらなる下落にもつながりかねない」(同)との不安があるとみられている。
今国会での政府提出法案は64本だが、現段階では予防接種法改正案と建築物エネルギー消費性能向上法改正案の2本が積み残しとなっている。さらに、「憲法改正に関する国民投票法改正案」も未成立で、与党は副首都構想関連法案も含めて、これらの法案を24日までに参院本会議で成立させるべく、「最大限努力する」(参院自民党幹部)構えだ。
足並みがそろわない野党陣営
延長された8日間のうち、前半が3連休なのに加えて、最終日は土曜日で「予備日」の扱い。しかも3連休明けの21日は審議が予定されておらず、「審議は実質3日間で、『副首都』だけでなく、政府提出法案の積み残し分の処理も簡単ではない」(自民党の国対幹部)ことは明らかだ。
その一方で、野党内でも「『副首都』は本来必要なもので、未成立の政府提出法案には国民生活に関わるものもあり、徹底抗戦が国民の批判を招く可能性もある」(国民民主党幹部)との理由から、「成立容認」に傾く幹部もあるとされる。
これまでの国会での攻防では、会期末に野党が衆院で内閣不信任決議案、参院で首相問責決議案をそれぞれ提出することが“慣例”とされてきた。ただ中道改革連合の小川淳也代表は、会期延長が決まった17日の記者会見で両決議案の提出について「会期末の恒例行事にはしたくない」と慎重な姿勢を示している。
こうした対応について、野党内でも「衆院選で示された民意や、右から左までの勢力が雑居して“多弱”と呼ばれる今の野党陣営にとって、55年体制以来の与野党対決の“猿芝居”はもはや意味がない」(国民民主党幹部)との指摘も少なくない。そのため、政界関係者の間では「結局、『副首都』も含め、与党が重要視する案件が延長会期内に成立する可能性がある」という見方も根強い。
その一方で、最新の各種世論調査では高市内閣の支持率がそろって大幅に下落、調査によっては支持と不支持が逆転したものもある。これも踏まえて、自民党内からは「高市首相や維新の吉村洋文代表は『副首都』の強引な成立を断念して、次期臨時国会への先送りで合意すべきだ」(長老)との声も出始めている。21日以降の国会での攻防は「出たとこ勝負の遭遇戦」となりそうだ。

