防虫ウェアでありながら普段着としても成立させられた背景には、スーツ店ならではの、仕立てへのこだわりとノウハウがあった。
「着用したときに安っぽく見えないよう、何度もパターンを修正しました。だらしなく見えないサイズ設計や、メッシュ特有の透け感を抑えるため、肩や背中の切り替え位置なども、ミリ単位で調整しています。こうしたサイズ設計やシルエット作りには、スーツ作りで培ったノウハウを生かせたと思っています」
さらに、同社が展開する「スポーツ×ビジネス」を融合した高機能スーツなどの知見も生かした。動きやすいストレッチ性に加え、自宅で洗えるウォッシャブル機能や防シワ性といったイージーケア性も両立。デザイン面ではあえてブランドロゴすら入れず、極限までシンプルに仕上げた。
「商品を作る側としては、どうしてもロゴを入れたくなります。しかし今回は、あえてロゴを入れず、お客様の生活や普段の服装に自然になじむことを最優先しました。高い機能性を備えながら、見た目はスマートに保つ。これは、当社の機能性ビジネスウェアでずっと大切にしてきた発想そのものです」
販売後には想定外の反響
販売は主要300店舗に限定した。ビジネスパーソンの多い新橋など、都心部の店舗にも展開した一方、農作業での需要を見込み、地方の店舗を中心に取り扱った。
メインは地方での需要を想定していたものの、発売後は想定外の反響が広がった。消費者からは「近くの店舗では取り扱っていないのか」「このサイズはもうないのか」といった問い合わせが相次ぎ、都心部の店舗からも追加発注の要望が上がるようになった。
「正直、防虫パーカーは競合各社からも販売されています。ただ、派手なデザインだったり、普段着としては着にくかったりするものも多いんです。お客様からは『シンプルで普段使いしやすいのがうれしい』という声も多くいただき、こうした商品へのニーズが想像以上に大きいことを実感しました」
売れ行きは、リリース当初の販売計画比約1.5倍からさらに伸び、現在は想定の約2倍に達しているという。こうした反響を受け、同社では来季に向けて女性向けサイズの展開も検討している。

