「私自身、休日に家庭菜園をすることが多いのですが、とても蚊に刺されやすいんです。自分が『こんな商品があったらいいな』と思ったことが、そのまま企画につながりました」
当初は家庭菜園や農作業での使用を想定していた。しかし、企画を進める中で社内の声も取り入れながら、野外フェスやキャンプなど、幅広いシーンで使える商品へとブラッシュアップしていったという。
企画から発売までは約9カ月。この期間は、同社の商品開発としても、やや長めだった。宮園さんによると、最も時間を要したのは、生地と防虫加工の組み合わせの検証だったという。
「生地を選び、その生地と防虫加工の相性を確認し、公的検査機関で試験を受ける必要がありました。初めての防虫ウェアに挑戦する以上、機能面は妥協したくなかったんですよね。普段担当しているカジュアルウェアではサンプル製作は1〜2回程度ですが、今回は生地だけでも複数回試作と検証を重ね、製品サンプルも3回作成しました」
顔まで覆える仕様や、作業しやすいように袖口のサムホール(親指を通せる穴)を作るなど、機能面の細部まで調整を重ねた。その一方で、「防虫ウェア」でありながら、普段着としても違和感なく着られるデザインも追求したという。
普段着としてもダサくないデザイン
筆者が「顔まで覆うと、少し"不審者"のようにも見えますよね」とたずねると、宮園さんは笑いながらこう振り返った。
「僕なんて試作の初期段階では、本当にメッシュの袋みたいなものをかぶって、自宅の庭で検証していました。正直、かなりダサかったですよ(笑)。『本当に蚊に刺されたくない』という実用性と、普段着として着てもダサく見えないデザインを両立したかったんです。メッシュ部分をフード内に収納すれば、普通のパーカーとして違和感のない見た目にできたので、それなら機能を削るのではなく、『振り切るところは振り切ろう』と判断しました。もし収納したときに違和感があれば、このフルフェイス仕様は採用していなかったと思います」

