若年層の人口は年齢が若くなるほどに減っていくわけだから、今までと同じように若者を念頭に置いて人材募集をかけていたら、新卒の奪い合いになり、大企業はなんとか確保できたとしても、中小企業ほど割を食うことになる。
いわゆるZ世代の若者は就職や転職について、自分たちが有利な環境にあることをよく知っているので、就職活動において強気に出る。内定式までこぎ着けても内定を辞退するのは珍しいことではない。
遠慮なく転職もしていく。「入社3年は修業期間。まずは辛抱しよう」といったロジックは通用しない。人材不足を背景に転職チャンスが実際にあるからだ。
中堅企業・中小企業において、新卒採用がままならないからと、大企業のマネをして初任給30万円を提示するのはあまり得策ではない。
実のところ、大企業は数年も働けば月30万円の給与に昇給させる力がもともとあるので、それを早期に手当しているに過ぎない。そうもいかない中小企業が、新卒だけ無理に賃上げしても続かないだろう。
全社員の賃金を一律に底上げできなければ、「入社時点の初任給は30万円だったけれど、それ以降10年以上も給料が上がらない……」ということになりかねない。
新卒だけ喜ばせて、会社に貢献している多くの社員の不満をくすぶらせても仕方がないのだ。
2035年、労働力不足は384万人に
将来の人材不足は日本においてどの程度深刻だろうか。数字で確認してみよう。
労働政策研究・研修機構(JILPT)の「2023年度版 労働力需給の推計」によれば、就業者数は2022年の6724万人から、2030年に6430万人、2040年に5768万人と減少すると見込んでいる(「一人当たりゼロ成長・労働参加現状」の試算)。
現在でも人手不足感があるというのに、働く人の人数はどんどん減っていくというわけだ。これは年齢階層で見て人口の多い世代が徐々にリタイアしていくことの影響が大きい。2030年代には団塊ジュニア世代ですら引退していく。
パーソル総合研究所と中央大学が2024年に共同で公開した「労働市場の未来推計2035」およびそのレポート記事においては、現在(2023年)の労働力不足を「就業者数6747万人×欠損率2.8%=労働力不足(人手)189万人」と推計している。
現状においても働き手の不足が189万人というわけだ。
さらに2035年の未来予測として労働力不足384万人、労働時間では現状の1.85倍の人手不足となると予測した。
2つの統計のどちらにおいても人材不足の深刻度は今後さらに高まると見込まれている。

