人口が減少していくことによる需要の縮小、あるいは労働の一部を機械やAIが奪い取っていく傾向を加味したとしても、どうやら人材不足は続くと考えてよさそうだ。
人材不足問題は、特に地方においてはより深刻であるといわれる。東京商工リサーチが「人手不足での倒産が増えている」と公表して話題となった。
2025年度に倒産した企業についての分析によれば、「求人難」「従業員退職」「人件費高騰」などの人手不足が一因となった事例数が過去最高を記録したという。
特に深刻なのが求人難による倒産で、2022年度の29件が、2025年度には139件と大きく増えている。そして、ここでいう従業員の退職には、他社への転職に起因する事例が少なからず含まれるだろう。
十分な賃上げ余力のない企業が経済の道理として淘汰されるのは厳しい現実でもある。しかし、「男性」「新卒学生」ばかり見ていることによる人材不足も相当あるように私には思える。
女性と高齢者の活用なしに生き残れない
こうした人材不足のために日本社会は機能不全に陥るのだろうか。
そうとも限らない。実は労働力そのものは増えており、特に女性と高齢者の労働人口は大きく伸びている。
前述したJILPTの推計においては「成長実現・労働参加進展」のモデルも示しているが、特に女性と高齢者の労働市場参加が進んだ場合、2030年に6858万人と、現状(2022年の6724万人)よりも就業者数は増加すると予測している。
2040年に6734万人と減少するものの、現状とほぼ同数が維持されると見込んでいる。
前述したパーソル総合研究所と中央大学が2024年に公開したレポート「労働市場の未来推計2035」も、2019年公開の「労働市場の未来推計2030」と比べて就業者数が増加している。
60歳未満の就業者数は人口の減少に伴って漸減していくが、それ以上に60歳代前半~60歳代後半以上の働き手が増えて、これを補うという推計となった。
そこでは就業を希望する高齢者のニーズを充足させることができれば、男性79万人分、女性139万人分、つまり218万人分の労働力増加が可能になり、人材不足を補う力があるとしている。
働く女性は今や正社員、非正規ともに当たり前の光景で、1985年には2367万人だったところが、2023年には3124万人まで増えている。
65歳以降の高齢者で働く人の数は2023年時点で914万人にもなる。20年連続の増加とされるが10年前は637万人だったので、近年大きく増えたことが分かる。
実は、国の年金制度の将来推計においては「女性と高齢者」の働き手が想像以上に増え、年金財政にプラスの影響を及ぼしているほどだ。国の想定以上に働く人が増えたというのは「いい予想外」だ。
若者の人材不足を埋めるカギは、女性であり高齢者なのだが、より重要なカギはやはり「60歳代後半~70歳代の高齢者」となるだろう。

