川畑:建設業界の人手不足が解消されないと、どういう影響が懸念されますか?
高内:都市部で事業を展開する大手ゼネコンであれば、知名度がある分、新卒採用も集まるかもしれません。ただ、問題は地方です。
私の実家は栃木県の建設業者でしたが、数年前に会社を畳んだ際、お客様に一番心配されたのは「うちに何かあったとき、また電話していい?」ということでした。家の外壁や庭の塀が壊れかけているとか、アスファルトの穴を埋めてとか、地域密着の建設業者には「町医者」みたいにいろいろな相談が来るんです。
職人を取りまとめる施工管理者がいないと、そういう生活環境のメンテナンスも難しくなります。
「河川の決壊」災害時に街を復旧させる人がいなくなる?
川畑:そう考えると、国土の大半を占める地方の道路や家を守るのに、各地に地域密着の建設業者がいることは大事なのですね。
高内:はい。特に顕著なのが災害時だと思います。私の地元でも数年前に集中豪雨で河川が決壊しましたが、地元業者がすぐ駆けつけて復旧させました。
地元密着の建設業者はその地域の財産だと思います。施工管理をはじめとする建設業界の人手不足は、災害対策としても重要な課題です。
川畑:「20代で500万円でも施工管理職の希望者ゼロ」という現実に対して、できることは何でしょうか?
高内:大学や工業高校、高専などで建築や土木を学んでいる学生さんは現実にいるので、まずは業界として魅力を発信していくことだと思います。
私の時代は女性が非常に少ない職場でしたが、今は男女関係ありません。処遇も変わっているので、まず「3K」といった誤解を解きたいですよね。
川畑:大卒者が建設業界に入ると施工管理職を担当することが多いようですが、未経験でもやれるものですか?
高内:知識や経験がないのは当然です。私も現場で教わりながら毎日成長させてもらいました。必要なのは、人間関係を大切にすることと、「わからないことを素直に聞ける」ことです。施工管理は、都市部でビルを建てるだけの仕事ではありません。それぞれの地域の生活道路や水路、水道や下水道、橋など生活インフラを守る事業や、災害後の暮らしを立て直す事業は、ほかに代役がいない仕事です。そのやりがいを、たくさんの人に味わってもらいたいなと思います。

