メールはそもそも公式なビジネスツールであり、文章も長くなる傾向にある。時候の挨拶や相手への気遣いの言葉も、本文内で述べることができる。メールに絵文字や顔文字を使うのはあくまでプライベートなやりとりのときに限られ、ビジネスでのやりとりで利用することは少なかったはずだ。
ところがチャットでは文章が短くスピーディになり、挨拶や気遣いの言葉などは省かれてしまがちだ。やりとりのスピーディさを失わず、コミュニケーションを円滑にするためには、絵文字やスタンプを使うのはある意味合理的とも言えるのだ。
スタンプ、絵文字の「正解」は?
絵文字チャットを上司に送る新入社員の話を聞いたとき、妙な納得感があった。大学生たちは、教員に対して絵文字や顔文字入りメールどころか、タイトルや本文もないメールも送ってくるからだ。
先日、受講生である1年生からレポートを添付しただけの何も書かないメールが届いて、さすがに驚いた。また別の1年生からは、宛名や挨拶、結びの文など一切なく、遅れた謝罪の文章のみのメールが届いた。メールのルールやマナーを知らないのだろうが、卒業する前に教えなければ大変なことになると心配になった。
大学生世代はメールの利用経験がほぼなく、LINEやSNSのダイレクトメッセージでコミュニケーションをとってきた世代だ。LINEやSNSのDMではタイトルも挨拶も結びの文もなく、いきなり用件のみ送ることができる。また、絵文字やスタンプはむしろ推奨されている。そのような環境の中で暮らしてきた彼らが、絵文字やスタンプに抵抗がないのは当たり前のことなのだ。
先述のように、大人世代にとってはメールなどでの絵文字や顔文字はカジュアルな印象が強く、知人・友人などプライベートな相手には送るが、ビジネスの相手にはあまり使わないものだ。しかし、若い世代は、年下から絵文字や顔文字、スタンプが送られてきても違和感を感じない。時代と共にツールも変わり、感覚も変わってきているのだ。
ただし、大人世代の感じ方がおかしいということではない。感じ方は世代や人によって異なるため、相手に合わせて変えていくべきだからだ。スタンプや絵文字の使用も同様だ。
冒頭の50代男性も、「お礼とか挨拶ならまだしも、謝罪で絵文字は軽すぎて反省しているように見えないのでは」としきりに首をかしげていた。相手に反省の意が伝わらなければ、せっかく送ったメッセージが逆効果になってしまう。年上の相手に送るときはもちろん、特に謝罪や反省の意を伝える場合には、丁寧なかしこまった文章で送る方がよさそうだ。
年代や相手によって、このように感じ方はさまざまだ。社外の人に連絡する際には、不快な思いをさせるリスクを考え、絵文字や顔文字はなくして丁寧なメッセージを心がけるべきだろう。
世代や立場によって、ネット上のコミュニケーション表現は異なり、正解も異なる。世代を超えた円滑なコミュニケーションのヒントとしていただければ幸いだ。
