というのも動物好きな女性が動物系の高校や専門学校に進み、就職先のひとつとして鷹匠を選ぶルートができつつあるからだという。江頭さんもそのひとりだ。
「もともと虫や爬虫類が大好きで、将来は絶対に動物関係の仕事に就くと決め、農業高校の畜産科に進学しました。その時、外部の専門家から『学校で猛禽類の保護施設を担えないか』というプロジェクトが持ち込まれ、その一環で、ハリスホークのお世話係になったことがきっかけです。そのなかで、放鷹の現場を見学し、人が鷹を放つ姿を見て本当に感動して。そこで、今の師匠に直談判して弟子入りしました」
恵まれた自然環境だからこそ、糞被害に悩むジレンマ
UR賃貸住宅における放鷹の導入は、決して最近始まった試みではない。
「この団地では、もう7~8年前から継続してお願いしています。そもそもハトやカラスとの攻防の歴史は、団地の歴史と同じくらい長いんです。緑豊かな敷地に建つ大規模団地は、鳥たちにとって格好の寝床になってしまうからです。一度テリトリーとされてしまうと、住居のベランダに侵入され、糞被害が多発します。特に人の気配のない空き住戸のベランダは巣をつくられやすく、放置されると被害の拡大につながるため非常に苦慮していました」
そう語るのは、神代団地の管理を担当するURコミュニティの小美濃拓也(おみの・たくや)さんだ。
前述したとおり、カラスやハトの糞害は、悪臭や景観を損なうだけではない。糞や羽毛を吸い込むことで、喘息やアレルギー症状、肺炎などの感染症の原因になる。
さらに、鳥の糞は強い酸性を含むため、放置すればベランダの床、外壁、屋根材を腐食・劣化させる。
悪臭だけでなく、ダニやゴキブリなどの害虫を引き寄せる温床にもなる。
ハトに餌付けをする人、追い払いを可哀想と主張する人もいるが、鳥の被害対策をすることは、そこに暮らす人、建物を守る行為なのだ。

