この言葉を裏付けるデータがある。市の道路交通情勢調査によれば、松坂屋が閉店した2010年の康生地区の歩行者数は、近年でも比較的多い水準にあった。人は街へ来ていたが、商業の勢いは戻らなかった。
ネット通販の普及もあり、人通りの多さがそのまま売り上げにつながる時代ではなくなっている。「人がいる街」と「売れる街」は、もはや同じ意味ではないのだ。
残った唯一の百貨店は「デパ地下」だった
百貨店がすべて姿を消した岡崎で、唯一残った百貨店機能がある。
郊外のイオンモール岡崎だ。開店当初、入居していた西武岡崎店は、2020年の閉店後、その一角に高島屋の食品売場「ジェイアール名古屋タカシマヤフードメゾン」が入った。百貨店を丸ごと維持するのではなく、需要の高い食品売場だけを残した形である。
前編で見たように、地元商店街は百貨店を核に市民の消費を引き上げようと考えた。しかし半世紀を経て残ったのは、高級衣料品売場ではなく、「デパ地下」だった。

