現在、次期学習指導要領もAI社会を見据えた議論が進められており、デジタル学習基盤を前提とした改訂になる見通しだ。「情報活用能力の抜本的向上」が掲げられ、小学校から発達段階に応じて、AIを含めた情報技術の「活用」「適切な取り扱い」「特性の理解」について学習していく方針が示されている。
渋谷氏も、「義務教育段階では、『AIは、助言はできるが責任は取らない』という大前提をしっかりと教えるべきです」と適切な取り扱いの重要性について語る。
「これからは、子どもたちもAIに相談してから行動する時代になると思います。これまでは教員や親が相談を受けて助言し、必要に応じて責任を負ったり成長を見守ったりしてきましたが、AIは助言をしても責任は取りません。その違いを理解させる必要があるでしょう。しかもAIは利用者がポジティブに感じる『それっぽいこと』を言いますので、AIを妄信せず『最終的に判断するのは自分』という自覚を育むことも重要です」
AI時代における「高専生の強み」
国は現在、激変するAI時代を生き抜く人材の育成に向け、高校改革や高専拡充にも着手している。各高校が独自の強みを打ち出す「N-E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想」では、地域企業や大学と連携して実社会の課題解決に挑む「地域協働」や、最先端のデジタル技術を駆使して理数分野を極める「STEAM教育」の導入を加速させる方針だ。また、DXの現場を支えるITエンジニア不足を背景に、高専の新設や定員拡大、半導体・AIに特化した新コースの開設を異例のスピードで進めている。
現在、高専でも教鞭を取る渋谷氏は、AI時代は高専生にアドバンテージがあると感じている。
「大学に入ってから初めてプログラミングに触れる一般的な大学生に対し、高専生は15歳から専門的な学びを重ねていますので、AIの仕組みを理解したうえで活用している印象が強いですね。AIの出力は理論上、『次に来る確率が高い単語』を並べているだけなので、同じ質問でもその都度、違う回答が出てきます。高専生はその仕組みを理解しているため、AIの回答を鵜呑みにはせず、セキュリティ意識も高い。原理や背景を理解しているというのは、やはりツールを使いこなすうえで重要なことだと感じます」

