そもそも、今回目指している「消費税の実質ゼロ」には、2年間で合計約10兆円の財源が必要とされている。「最優先課題の財源確保策が『P=ペンディング(保留)』では論議を進めようがない」(実務者会議の有力議員)のは当然だ。
立憲民主党の石橋通宏参院議員は会議後、記者団に「細かいことは先送り。これで財源の議論はできない」と反発。国民民主党のの古川元久代表代行(財務省出身)も「財源を本当に確保できるのか。円の信認にもつながって、さらに円安が進めば、また物価が上がってしまうリスクもある」と財源論議の先送りを糾弾した。
さらに論議を混乱させたのが、高市首相が今回の取りまとめ案提示に先立って、22日の衆参予算委集中審議の答弁で「(減税実施の期限が切れる29年4月以降は)税率を元に戻す」と明言したことだ。すぐさま自民党内から「その時点で大増税となり、国民の理解が得られるはずがない」(元税調幹部)との批判・反発が噴出する事態となった。
党内の路線対立を印象づけた「小渕の乱」
そうした中、25日に一部メディアが報じたのが小渕氏の「インナー辞任」だった。同氏は財務副大臣を経験し、財政再建を重視する立場で知られている有力議員で、自民党旧茂木派の最高幹部の1人でもある。
そもそも、先の衆院選での高市首相の政権公約を実現するための今回の減税案をめぐっては、かねて党内の財政規律派が強い拒否感を示してきた。さらに、長期金利が上昇する中、財界でも財政悪化を懸念する声は根強い。それだけに、今回の「小渕の乱」は税制をめぐる党内の路線対立をさらに印象づけた格好だ。
こうした一連の混乱を受けて、自民党内には「物価高に苦しむ国民が期待する『食料品減税』そのものが宙に浮きかねない」(長老)との厳しい見方が広がり始めている。国会会期末を控えて、改めて高市首相の指導力や統率力が問われる事態となっている。
もともと経済学者など専門家の間では、今回の取りまとめ案の「食料品の消費税率を8%から1%にする」ことについては異論や反論が少なくない。

