消費税はこれまでは年金、医療費、介護、子育ての財源となっており、税収の約4割は地方消費税や地方交付税として県や市町村に配分されている。「その『基幹税』を、確たる財源のあてもなく、安易に変える事は慎重にすべきだ」(経済学者)というのが反論の趣旨だ。
さらに、現在の政治・経済情勢を受けて輸入品の価格が上昇する中、生産者はコストを販売価格に転嫁せざるをえなくなっており、減税しても十分な値下がりが期待できない可能性もある。
そして、自民党内で政治的に最も問題視されているのは「いったん下げた税率を2年後の29年春に元に戻せるのか」(自民党幹部)という点。「高市首相の答弁のとおり、食料品の税率を8%に戻した場合は大増税となり、その後の国政選挙や地方選挙は自民のボロ負けになりかねない」(同)からだ。
今後の半月が政権の浮沈を左右か
そうした反対論・慎重論が渦巻く中、高市首相ら官邸サイドが描いているのは、今回提示された「食料品減税案」を7月上旬に決定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に反映させ、秋の臨時国会で関連法案を成立させるという道筋だ。
しかし、「中傷動画」や「サナエトークン」をめぐる疑惑は「高市首相の相次ぐ答弁修正もあって、収束の見通しがまったく立っていない」(自民党の国対担当者)ことから、野党陣営は29日以降、衆参両院で審議を拒否する構え。皇室典範改正案も含めて、高市政権が推し進める重要法案の当初会期内の成立は難しい状況となりつつある。
高市首相は7月1~3日にインドを訪問し、ナレンドラ・モディ首相との首脳会談に臨む。自民党内では「今後の党内調整は高市首相の帰国後に先送りせざるをえない」(執行部)との声が支配的。高市首相にとって「これからの半月間が、政権の浮沈にも関わる最大の正念場」(自民党長老)となるのは間違いなさそうだ。

