一方、テックバブル崩壊局面との類似点は多数ある。
テックバブルは1999年から加速したわけだが、先日亡くなったアラン・グリーンスパンFRB(連邦準備制度理事会)議長は、96年にすでに議会証言で、「根拠なき熱狂」と株式市場のバブルに警鐘を鳴らしている。バブルが長く続き、そのバブルの中でも究極のバブルとして、局所的に異常に爆発したのがドットコムバブルであり、今回のAI・半導体バブルと同じである。
第2に、これに対して、中央銀行が利上げを行っていき、利上げしてもバブルは続いたわけだが、最後には、高い金利水準からのさらなる利上げでとどめを刺したのだった。
今回も、2020年からのコロナバブルの流れで(その前からリーマンショックに対応して起きた、量的緩和バブルの流れが続いていたが)、サプライチェーンのショックによるコスト高と需要の強さと両面からのインフレで成熟経済としてはあり得ないと思われた10%水準のインフレが続き、慌てて利上げを行い、それを下げ始めたところで、サプライズ的に急に反転して利上げになりそうだ、という局面であり、リスク資産には厳しい金融政策が暴落のきっかけになったのも同じである。今回は、新FRB議長ウォーシュ氏が同国の中央銀行であるFEDの大改革を打ち出し、これがタカ派と受け止められたから、「金融政策が厳しくなる」と投資家たちはおびえ始めた。
第3に、テックバブルは、事業収益への疑問が台頭し、ビジネスモデルサイドからの要因が暴落を加速した。ここは「ドットコム企業はインチキ企業ばかりで、AI半導体企業はまったく違う」、というのがバブルをあおる側の議論だ。
しかし、AIそのもの、ピュアな企業の収益モデルは非常に力弱い。スペースXはインチキとまでは言わないが、せいぜい夢だけであり、問題外であり、時価総額300兆円規模と見込まれているOpenAI、アンソロピックも、それに相応する収益モデルのめどはまったく立っていない。周辺部のパランティア・テクノロジーズはずるがしこく儲けているが、長期の持続性も疑問だし、そもそも収益に見合う株価水準でいえば数十分の1にならないといけない。だから、ビジネスモデルがあっても価格の修正は必至である。
半導体も奪い合いでなくなり価格も急落、株価も暴落する
確かに、周辺の半導体企業への需要は実需であり、実際に売り上げもあり、半導体の奪い合いで利益は10数倍以上となっているが、それも、AI企業群の雌雄が決すれば、1社または2社程度しか残らず、ほかの競争企業の分の需要は激減、また勝ち残りの企業としても、ライバルを圧倒するために、過剰投資を行っていたから投資量も減る。そうなると、半導体は奪い合いではなくなるので、価格も急落する。
なので、半導体企業の利益は激減する。株価もそれに応じて暴落する。またデータセンター供給など、AI企業に付随する巨大テック企業、ハイパースケーラーは、投資を激減させることになり、これは前述の半導体メーカーあるいはその部材、あるいはデータセンターへの部材など供給企業への需要もその価格も急低下するが、本体の財務は盤石で、倒産リスクはないに等しい。
しかし、作ったデータセンターなど、巨額投資はただの無駄になり、大規模減損となり、株価は大幅に下がる。電力供給も余り、関連の企業も同様だ。つまり、現在の収益モデルは中長期的には株価にまったく見合っていないのである。これらの企業は全部まともだし、巨大だが、すべて株価は暴落か大幅下落となり、現在の儲けのために、過剰投資をしたところの中には倒産するところも出てくるだろう。

