しかし、最後の最後で決断を後押ししたのは、家族の存在だった。
「母は昔、外資系企業で働いていたんですが、突然会社を辞めてワーホリに行ったり、その後にまた学生に戻ったり、自分の気持ちに正直に生きていたんです。私はそんな母が大好きで、ずっと母のような人間になりたいと思っていたので、最後は自分のやりたい道に進む決断をしました」
これまでの自分を認め、これからの自分をもっと輝かせるために。
佐野さんは芸能の道へと進んだ。
外野の意見に揺るがない、強い決断ができた理由
人生とは取捨選択の連続だ。何かを得るためには、何かを捨てなければならない。
佐野さんは自分の意志や夢を取り、安定を捨てた。その選択は一般的に「間違い」や「浅はか」と形容されがちだ。
実際に、佐野さんがSNSに投稿した退職報告には、「考えが甘い」「もったいない」「何考えてるの?」など、辛辣なコメントが並んでいた。
だが、それらの意見を佐野さんはまったく意に介していない。
もちろん、早期退職してしまった銀行への申し訳なさや、支えてくれた人たちへの感謝の気持ちは今でも強い。自分が身勝手な選択をしてしまったことも、よくわかっている。
しかし、佐野さんはそれらすべてを背負って、自分が一番輝ける可能性のある環境に身を置いて、人生をかけた勝負をしているのだ。
そんな彼女が、何も知らない、何も背負っていない外野の意見で揺れ動くはずがない。
とはいえ、佐野さんも最初からここまで強い人間だったわけではないはずだ。
「なぜ、そこまで強くいられるんですか?」
取材終盤に投げかけた私の質問に、彼女は一点の曇りもない表情で答えてくれた。
「昔の私は何事にも消極的で、今回のような決断を下せる人間ではありませんでした。今の自分があるのは、発信活動をするようになったおかげで、そのきっかけになったのは大学時代に出たミスコンです。なので、私はミスコンに出て本当によかったと思っています」

