東洋経済オンラインとは
ライフ

平均74歳の学生350人が集う"シニア大学"の熱気《この年で飲み仲間ができるとは…》人生後半の学びと出会いで得るもの

10分で読める
奈良シニア大学
多彩な講師を迎えて開かれている奈良シニア大学の講義風景 (写真:筆者撮影)
2/6 PAGES

奈良シニア大学は55歳以上を主な対象とした民間の生涯学習の場で、「大学」と名乗っているが「学校教育法」や「大学設置基準」に基づく、いわゆる一般的な大学ではない。

しかし一般教養講座や選択科目講座に加え、イベントやサークル活動も充実しており、シニア世代が学びと交流を通じて、学生生活のような時間を楽しめる場となっている。ちなみに入学試験はなく、入学資格は「知的好奇心あふれる方ならどなたでも」。

入学金は2万2000円、授業料(月額)は1万4300円なので、他の習い事と大きく変わらない。入学者は毎年増え続け、黒字を更新し続けているという。運営する一般社団法人日本コミュニティカレッジの代表、矢澤実穂さんはこのように語る。

「普通のカルチャーセンターではなく、大学という名前に惹かれて、男性は通いやすいんだと思います。あとは『妻や子どもに、ずっと家でテレビを観てるんじゃなくて、外に出てよと言われたから来た』と話される方もいます」

人生100年時代と言われる今、年齢を重ねると社会での役割もライフステージも変わる。定年退職などで会社という所属を離れた男性にとって、「大学」という新たな学びの場は、第二の居場所として機能しやすいのかもしれない。

核家族化が進む現代で孤独や不安を感じるシニアも少なくないはずだが、筆者が見た活発な彼らに悲壮感はまったく感じない。なぜ、シニア学生らは民間の「学びの場」にのめり込むのだろうか。

活動は多岐にわたる。写真は20年に一度開催される伊勢神宮の式年遷宮に伴う伝統的な民俗行事「御木曳行事」に参加・研修を行った時のもの(写真:奈良シニア大学)

90歳男性「夏にドローンの資格を取る予定です」

5年前から通っているという90歳の男性は、前かがみの身体で目線を上げ、こちらを見てニッと笑った。

「私は昔、商社に勤めててね。人生、仕事ばかりでした。すぐに就職してしまったから、学生の頃は学びきれなかった後悔もありました。今はここで、知らないことをたくさん学べるから、うれしいね」

「所属サークルは?」と聞くと、満面の笑みで「ドローン部」と返って来た。続けて「夏にドローンの資格を取る予定です。これがなかなか難しくてね」と、ワクワクした気持ちを隠せない表情で語った。

午後は課外授業で、奈良の史跡や博物館へ歩いて向かうのだという。その足取りは年齢を感じさせないほど軽かった。そばで話を聞いていた矢澤さんが、男性についてうれしそうに語る。

「彼は最寄りの近鉄奈良駅からここまで、健康のためにいつも15分くらい歩いて来るんです。すごいですよね。……あら、(男性の)リュック、開きっぱなしだわ!」

3/6 PAGES
4/6 PAGES
5/6 PAGES
6/6 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数