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「お財布が見当たらない。どこにしまったんだろう?」と言われて、一緒に捜す回数が増えた。誰あろう、母と私の会話だ。幸い、まだ母は認知症ではないと思われるが、それでも娘として「あれ?」と思うことが増えてきたのは事実だ。この類いの悩みは多くの方がお持ちなのではないか。
慶応大学ファイナンシャル・ジェロントロジー研究センターが作成した『60歳からのチーム作り』という冊子では、80歳代の4割以上は、認知症や軽度認知障害になる可能性があると指摘。年齢が上がるほど、いずれかになる割合は高まることを示している。ところが国立長寿医療研究センターは、認知症・軽度認知障害の状況でも受診がわずか7%であるとしており、自身の状態を本人が認識しないまま事態が進んでいるであろうことが推察される。
高齢者の金融資産が凍結される
一方、慶応大学でこの研究を進める駒村康平教授によると、認知症の方の個人金融資産130兆円、軽度認知障害の方の分130兆円を合わせ、260兆円が、認知機能の低下によって動かないか、動きにくい資金として凍結されてしまいがちである、という。75歳以上の保有する金融資産660兆円のうち、実に39.4%が下手をすると動かなくなるということになる。これだけの資産が使えないと問題は多岐にわたる。
銀行や証券会社など金融機関としては、資金を預金ないしは株や債券という形で預かっているはずだが、認知機能の低下した顧客に対してどう接するかはそうとうに難しい問題だ。個人の尊厳を守ることは何より大切だが、怪しさがある顧客の行動を無視して、詐欺に引っかかるのを見過ごすわけにもいかない。
だからといって、権限も法律もない中、各社が独自の判断で自治体などと連携をすれば、クレームの嵐になることは想像にかたくない。金融機関にとって、これではあまりにも多くのコストがかかってしまう。法律面でのサポートがない中、金融機関はどう振る舞えばよいのか。
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