テレビを見ているとよくわかりますが、スベることを気にせず、最初に口を開いた人が一番目立ちます。2番目に何か言っても、なかなか映してもらえません。生き馬の目を抜くような「芸能界」のみならず、私たちの日常でもまったく同じことが言えるでしょう。
つねに「先手」を取るスネ夫の発言
――しずちゃんが、のび太とスネ夫の前で泣いています。
「どうせ、むだよ。あんたたちに話したって」
涙を流すしずちゃんに、すかさずスネ夫がこう切り返します。
「そんなこと、あるもんか。しずちゃんみたいなかわいい子が悲しそうにしてるとぼくはがまんできないんだ」
のび太は、そんなスネ夫に感心するばかりでした。
「うまいこというなあ」
「なやみや苦しみを分け合ってこそ、友だちじゃないか」としずちゃんにやさしくことばをかけるスネ夫。「そうそう」とのび太。
「しずちゃんのためなら、どんなことでもするよ」とスネ夫。のび太は「どんなことでもする」と、スネ夫のセリフを繰り返すだけでした。
(『てんとう虫コミックスドラえもん 第6巻』小学館 第4話目「はこ庭スキー場」より)
最初に口を開くことのメリットは、「注目される」ということもありますが、その場全体の雰囲気を引っ張っていくという主導権(イニシアチブ)が得やすいことです。マイナスの発言ではなく、ぜひポジティブで建設的な発言をして、よいムードメーカーとなってください。前向きの発言であれば、結果的に「調子のよい発言」になってしまっても許されるでしょう。
たとえば、このシーンのあとで、しずちゃんの望みが明かされます。それは、「スキーに行くこと」でした。しかし、彼女いわく「どこも満員で、予約が取れない状況」だそうです。
冷静に考えて、「それは実現が難しい」と判断したスネ夫は、「スキーなんてつまんないよ」「あぶないよ」としずちゃんにアドバイスして、立ち去ってしまいます。しかし、スネ夫に影響されたのび太が、ドラえもんをなんとか説得し、最終的に「スキーに行く」というしずちゃんの夢をかなえてあげます。
話全体で見ると、今回は珍しくスネ夫が「かませ犬」(引き立て役)的な役回りを演じています。しかし、スネ夫がもしいなかったとしたら、のび太はしずちゃんから悩みを聞き出せなかったでしょうし、彼女のために尽力しようという気にさえならなかったかもしれません。

