こう笑い飛ばしてもらえれば、それだけでかなりラクになりますよ。ヘマをしない人などいないのですから、こうしたことはお互い様。あるときは、なぐさめる側に。あるときはなぐさめられる側に。まさにドラえもんとのび太の関係です。のび太みたいに普段はなぐさめられてばかりの人間だって、こんなときは、とても頼りになることでしょう。
「そのやる気をおこすのがむずかしいんだ‼」
私が大学で教えていた学生たちも、講演会などでお会いする社会人も、根はまじめな頑張り屋さんがほとんどです。だからといって、彼らがいつもいい成績を残しているかといったら、そうとも限りません。それは、まじめな頑張りだけではどうにもならない、気持ちの上での事情があるからだと思います。
――のび太はスネ夫から、環境ビデオなるものを見せてもらいました。そこには、木の葉が風にそよぐ音、小川のせせらぎ、小鳥のさえずり、カッコーの鳴き声も聞こえる、気持ちのいい風景が映し出されています。
「気分だけでもさわがしい都会をはなれ、勉強に集中できるってわけ」
スネ夫からこんな説明を受けたのび太は、「なるほど……。これでわかったぞ! ぼくの勉強ができないわけが」と鼻息あらく帰宅し、ドラえもんに「環境ビデオがなかったからだ‼」と強く訴えました。
「うそつけ。ほんとにやる気があれば、どこだってできるものだよ」
ドラえもんが諭すと、のび太は叫びます。
「そのやる気をおこすのがむずかしいんだ‼」
そして、困ったもんだという顔をしているドラえもんの前に正座し、米つきバッタ(ぺこぺこと何度も頭を下げるさま)のようにして哀願しました。
「お願いします‼ きょうは宿題がいっぱいあって、なんとかたすけてもらわないと……」
ドラえもんがしぶしぶ「ほんとにちゃんと宿題やる?」と聞くと、「やる‼ やりますとも」と興奮気味な表情でのび太は答えました。
(『てんとう虫コミックス ドラえもん 第40巻』小学館 第11話目「環境スクリーンで勉強バリバリ」より)
「本当にねえ。そのとおりなんだよ」。私も思わず、つぶやいてしまいました。

