Adifが2025年に公表した報告書によると、2022年に新線建設へ投資した額は13億3347万ユーロ(約2458億円)だったが、2023年は16億9393万ユーロ(約3122億円)、2024年は20億7220万ユーロ(約3820億円)と右肩上がりに増えている。
これに対して設備の更新費用は、2022年が2億0257万ユーロ(約373億円)、2023年が2億3810万ユーロ(約438億円)、2024年が2億9010万ユーロ(約534億円)だった。金額自体は増えているが、新線建設への投資額が増える中、割合としてはインフラ更新への投資は減少していた。
そのような状況下で、民間の「イリョ」とフランス国鉄が高速列車運行に新規参入し、列車本数が大幅に増加。競争が生じたことによって利用者数は増え、多くの列車が満席で運行されるようになったが、インフラの負担は大幅に増大していた。システム全体の維持管理能力を上回る事業の拡大が、破滅的な結果を生み出したと言えなくもない。
安全性向上へ維持管理費引き上げ
事故後、プエンテ運輸大臣はインフラの維持管理や安全性向上のため、2026年には8億6100万ユーロ(約1587億円)を投資、2030年には11億ユーロ(約2028億円)にまで引き上げるとしている。過去数年と比較すればかなり増額されているが、はたしてインフラ維持に対する懸念は払拭されるだろうか。
当初は、大惨事ではあるものの原因としては「何らかの不具合による単純な事故」と考えられていた今回の脱線衝突事故。しかし真相が明らかになっていくにつれ、その事故の裏側に隠れた深い闇を感じずにはいられない。

