冠動脈CTは循環器内科を標榜する医療機関の一部にある。医師が必要と判断すれば健康保険が使えるので、自己負担は1万円前後ですむ(3割負担の場合)。
一方、検診が目的の場合は全額自己負担となる。数万円以上はかかるようだが、人間ドックのオプションや「心臓ドック」のメニューに取り入れている医療機関もあるので、先に紹介した危険因子を持っている人は調べてみるとよいだろう。
なお、冠動脈CTは通常の胸部CTと違い、血管を画像で見やすくするための薬剤(造影剤)を注射して行う。そのため、造影剤にアレルギーがある人や、造影剤の排出に関わる腎臓の機能が落ちている人には使えない。被曝(1年間に自然に浴びる放射線量に近い程度の)もあるので、十分な説明のもとで納得して受けよう。放射線を使わない検査として、実施施設は限られるが、心臓MRIという選択肢もある。
このほか、心臓に負荷がかかったときに分泌される「BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)」というホルモンを血液検査で調べる方法もある。保険診療で心不全を診断したり治療の効果を見たりする目的で普及しているが、検診の目的なら、自費の人間ドックのオプションとして選択できることが多い。費用は冠動脈CTよりひと1桁安い。
心不全は警戒が急務な病
実はこの心不全をめぐって、医療界では「パンデミック(世界的大流行)」と呼ばれる状況が起きている。本来は、感染症が国境を越えて大流行することだが、心不全もそれになぞらえて、警戒が急務な病となっている。
背景にあるのは、超高齢化や危険因子を持つ患者の数の多さだ。
また、医療の進歩で、かつては救命困難だった心筋梗塞などの治療が可能になったものの、助かっても心不全になって、患者が累積するということがある。何より、心不全患者は入退院を繰り返す特徴があり、患者の増加によって入院する人が増え、病床が埋まりかねない。そうなれば、いざ自分が心不全となって重症化したとき、あるいは他の病気で緊急の治療が必要なときに、すぐに入院できない事態も起こりかねない。

