もちろん、医療界も「心不全パンデミック」に手をこまねいているわけではない。
専門医でつくる日本心不全学会は2025年10月、心不全の予防に特化した診療の流れを定め、非専門医への周知を図っている。治療法についても、この5年ほどで新たな仕組みの薬が相次いで登場しており、心臓の機能低下が進んだ患者を中心に使われるようになっている。さまざまな臨床試験で、患者の延命が確認されている。
iPS細胞を使った再生医療が承認
トピックスとしては、iPS細胞を利用した心筋細胞の再生医療の製品が、条件・期限付きながらも2026年3月に承認された。iPS細胞からつくったシート上の心筋細胞を、手術で心臓の表面に直接貼り付ける。
薬物などの標準的な治療を行っても効果が不十分な重症の心不全が対象で、7年間の「仮免許」だが、自己再生しない心筋を補助し、症状の改善が期待されている。
5年生存率50%の病をどう防ぐか。それは「症状が出る前の段階で自分の状態を知り、適切な対策を取ること」だ。そしてもちろん、息苦しさやむくみといった症状が出る病気は他にもあり、自己判断は禁物。そのためにも、まずは伴走してくれるかかりつけ医を探し、自分の心臓のリスクを把握することから始めてみてはいかがだろうか。
(取材・文/佐賀健)

五十嵐健祐医師

