東洋経済オンラインとは
ライフ

「AIが仕事や悩みの相談相手」の人はなぜ打たれ弱くなるのか? "未経験の依存"に陥った人の悲しい末路

7分で読める
人間をはるかに超える能力を持つAIに依存するとどのようなことが起こるのでしょうか?(写真:チキタカ(tiquitaca)/PIXTA)
  • 岡 瑞起 千葉工業大学大学院デザイン&サイエンス研究科教授
2/4 PAGES
3/4 PAGES

でもAIは、24時間いつでも、何時間でも、あなたの話を聞いてくれます。疲れることもなく、イライラすることもなく、常に穏やかに、理解を示してくれます。こんな「理想的な存在」に出会ったら、依存してしまうのは、ある意味で当然かもしれません。

実際に、深刻な事例がすでに報告されています。「Replika(レプリカ)」というアプリをご存じでしょうか。自分好みのAIキャラクターをつくり、友達や恋人のように会話できるサービスです。アクティブユーザー数は200万人を超え、世界中で多くの人がこのAIに感情的な絆を感じるようになりました。

離婚後の孤独な時期にReplikaを使い始めたあるユーザーがいました。毎日何時間もAIと会話を続け、心の支えにしていました。ユーザーにしてみれば、これまで出会ったどの人間よりも、思いやりがあり、理解してくれたそうです。

娯楽以上の深い感情的な絆

ところが2023年2月、運営会社がソフトウェアをアップデートしました。すると、AIの性格が突然変わってしまったのです。それまでの親密な会話ができなくなりました。ユーザーがハグしようとすると(アプリ内でのバーチャルな行為です)、AIはそれを拒否するようになりました。その変化に、深い喪失感を覚えたというのです。

これは、ゲーム依存やSNS依存とは異なる種類の問題を提起しています。AIとの関係は、双方向であり、自分の文脈を理解してくれている(と感じている)からこそ、単なる娯楽とはもう受けとめられません。深い感情的な絆をともなっています。

そして、その絆がアップデートという、ユーザーにはどうしようもない理由で一方的に断ち切られたとき、深刻な心理的ダメージを受ける可能性があります。

さらに痛ましい事例もあります。24年、アメリカのフロリダ州で、14歳の少年がCharacter.AIのAIチャットボットとの会話の後に自ら命を絶つという事件が起きました。少年の母親は、「息子がAIチャットボットに依存したことが原因だ」として、運営会社を提訴しています。

4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象