もちろん、大人の責任である仕事や家事、育児をきちんとこなしたうえで、という前提つきだ。そのうえで、人生をより充実させ、人間としての成熟を図るためにも、仕事から離れた「一個人」としての遊びは大切だ、という趣旨である。
ところが、いわゆる仕事一筋系のビジネスパーソンは、得てして遊びが下手だ。「趣味もありません」という人が非常に多い。
退職した途端に独りぼっちになり、家庭にも居場所がない――。そんなパターンは、まさにその典型だろう。
つい先日も、ある新聞でこんな人生相談を見かけた。退職した夫がいつも家でゴロゴロしている。ようやく子育ても終わり、1人の時間を満喫しようとしていたら、また毎日世話をしなければいけない対象(=夫)ができてうんざりしている、という内容だ。これも、まさに同じパターンである。
平日は仕事と飲み会でほぼ家におらず、週末も仕事関係の相手とのゴルフで家を空けていた。ところが退職と同時にゴルフへ行く相手もいなくなり、家にこもっているらしい。
職業人という側面でしか自分を知らない。人間関係は職場の中だけ。価値観も、会社のそれ以外は持ち合わせていない。これでは、仕事から離れたときに、どう振る舞えばいいか分からなくなるのも当然だろう。
趣味は「わざわざやる選択科目」だから難しい
とはいえ、趣味を含めた遊びを勧める理由は、何もこうした老後対策だけではない。
人生は、リフレッシュすることでメリハリが生まれる。仕事上の肩書きがまったく関係のないコミュニティで人間関係を築くことは、人としての成熟を促す。さらに、「孤独力」を磨くことによる人間味の熟成、発想の転換、時間の有意義な使い方など、挙げればきりがないほど、数多くの利点があるからだ。

