321列車の音威子府到着は15時03分着で、15時19分まで停車した。その間に蒸気機関車は石炭を補給して給水を受ける。乗客も停車時間を利用して音威子府名物駅そばの「黒い駅そば」で腹を満たす。この駅そばは一度姿を消したものの、復活し人気を呼んでいるという。
音威子府でしばしの停車の後、列車は天塩川に沿ってさらに進む。途中には歌内(うたない)、問寒別(といかんべつ)、雄信内(おのっぷない)など珍しい駅名がある。だが近年の駅廃止により歌内駅は2022年に99年の歴史を閉じた。筆者はこの駅に2度降りて、C55形の牽引する旅客列車を撮り、JR化後も急行「宗谷」を撮影した。特徴ある建築の駅舎は途中下車したくなる駅だった。雄信内駅もまた2025年3月に廃止され、現在は信号場となっている。
いよいよ「最果て」へ
留萌からの羽幌線の終着駅でもあった幌延は、稚内までの間で最後の主要駅といえる存在だ。321列車はこの駅で6分間停車。幌延の近くには日本最北の温泉郷といわれる豊富温泉があり筆者も訪れた。石油の匂いがかすかにした温泉だった。
幌延を発車すると、いよいよ「最果て」感が車窓から漂う。ほぼサロベツ原野を進むが稚内に近づくと丘陵越しに利尻島の端麗な利尻富士が見えればラッキーだ。
