東洋経済オンラインとは
ビジネス #鉄道最前線

「最果ての鉄道」宗谷本線、蒸気機関車時代の記憶 旭川から稚内を目指す「鈍行列車」が走った最北端

9分で読める
宗谷本線 利尻富士 C55
「利尻富士」をバックに走るC55形蒸気機関車の引く宗谷本線の列車(撮影:南正時)
2/5 PAGES
3/5 PAGES

塩狩峠を越えた列車は士別を過ぎて名寄に到着する。321列車は12分の停車で、ここでC55形が牽く稚内発の上り324列車と交換する。筆者は厳冬の名寄駅で、この交換風景を撮影している。冬はC55形の動輪が雪にまみれて迫力満点だった。名寄駅近くの北国博物館前には、9600形蒸気機関車やマックレー車、ロータリー車などからなるSL時代の除雪列車「キマロキ編成」が保存されている。

新緑の塩狩峠を行くC55形牽引の列車=1973年6月(撮影:南正時)
【写真を見る】冬の塩狩峠を行く車窓。先頭では蒸気機関車が奮闘する
厳冬の名寄駅で交換する稚内行き321列車(左)と上り列車(撮影:南正時)
【写真を見る】雪の中、煙を噴き上げて名寄駅を発車するC55形牽引の列車

原野の広がる車窓と「秘境駅」

名寄駅を発車すれば「最果て列車」はさらに北を目指す。その車窓風景には原野が広がり北海道を実感する。旅情ある北星駅は小さな木造のプラットホームだけの今でいう「秘境駅」で、昭和40年代にはこのような駅は数多く存在した。最近は北海道で駅の廃止が進んでいるが、北星駅も2021年3月に廃止となってしまった。

美深は近年、チョウザメの養殖が話題になっているが、かつては「日本一の赤字ローカル線」として知られた美幸線が仁宇布(にうぷ)まで伸びていた。北見枝幸を目指したものの、その先は未成に終わった路線で、1985年に廃止された。仁宇布駅跡はかつての美幸線跡の線路でトロッコに乗れる「トロッコ王国」が鉄道の面影を残している。

美深を過ぎれば天塩川が車窓に広がり、あたりの風景から人家は少なくなってくる。音威子府の2つ手前の駅、豊清水で321列車は上り急行と行き違う。冬に訪れた際は外は吹雪、筆者は外に飛び出し雪煙を上げて通過する急行「天北」の姿を記録している。豊清水駅は2021年に廃止され、現在は信号場となっている。

吹雪の中、豊清水駅で急行「天北」と行き違うC55形牽引の列車=1973年11月(撮影:南正時)
【写真を見る】凍てつく豊清水駅に停車するC55形牽引の列車と機関士ら。客車は側面まで真っ白だ
4/5 PAGES
5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象