塩狩峠を越えた列車は士別を過ぎて名寄に到着する。321列車は12分の停車で、ここでC55形が牽く稚内発の上り324列車と交換する。筆者は厳冬の名寄駅で、この交換風景を撮影している。冬はC55形の動輪が雪にまみれて迫力満点だった。名寄駅近くの北国博物館前には、9600形蒸気機関車やマックレー車、ロータリー車などからなるSL時代の除雪列車「キマロキ編成」が保存されている。
原野の広がる車窓と「秘境駅」
名寄駅を発車すれば「最果て列車」はさらに北を目指す。その車窓風景には原野が広がり北海道を実感する。旅情ある北星駅は小さな木造のプラットホームだけの今でいう「秘境駅」で、昭和40年代にはこのような駅は数多く存在した。最近は北海道で駅の廃止が進んでいるが、北星駅も2021年3月に廃止となってしまった。
美深は近年、チョウザメの養殖が話題になっているが、かつては「日本一の赤字ローカル線」として知られた美幸線が仁宇布(にうぷ)まで伸びていた。北見枝幸を目指したものの、その先は未成に終わった路線で、1985年に廃止された。仁宇布駅跡はかつての美幸線跡の線路でトロッコに乗れる「トロッコ王国」が鉄道の面影を残している。
美深を過ぎれば天塩川が車窓に広がり、あたりの風景から人家は少なくなってくる。音威子府の2つ手前の駅、豊清水で321列車は上り急行と行き違う。冬に訪れた際は外は吹雪、筆者は外に飛び出し雪煙を上げて通過する急行「天北」の姿を記録している。豊清水駅は2021年に廃止され、現在は信号場となっている。
