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ガッツ石松さん(76)「天然」でも痛々しくない不思議 世界王者の実績と、笑われ役を引き受けた"常識人"の器

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1974年、ロドルフォ・ゴンザレスから世界王座を奪取したガッツ石松さん(写真:ZUMA Press/アフロ)
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それでも、テレビの中のガッツ石松さんは、タレント活動を始めた頃から一貫して「天然キャラ」として扱われていた。芸人のはなわが04年にリリースした「伝説の男〜ビバ・ガッツ〜」という楽曲は、まさにそのイメージを世に広めた代表的な作品である。歌詞の中では、ガッツさんのおかしな発言がネタにされていた。

こういうものに対して、普通のタレントであれば、自分が笑いものにされていると不快に感じても不思議ではない。元世界チャンピオンという立派な肩書を持っている人間なら、なおさらだ。だが、ガッツさんはそういう扱いを強く拒むことはなかった。そこに彼のタレントとしての本当の強みがあった。

彼は、自分がバラエティの中でどう見られているかを理解していなかったわけではない。むしろ、十分わかっていたうえで、その役割を引き受けていた。ボクシングにおいては世界王者でも、芸能界では自分は新参者である。芸能人やテレビ制作者が作っているテレビの場にあとから入っている以上、自分はそこで求められる役割を果たすだけだ。そういう心構えがあったからこそ、彼は笑われることを恐れなかった。

ガッツ石松さんは、頭が悪いから笑われていたわけではない。笑われる役を引き受けるだけの覚悟と余裕があったから、テレビで愛されたのである。

ボクサーとしての本物の実績

バラエティ番組において「天然キャラ」を貫き通すのは、簡単なようで難しいことだ。本人のズレや間違いが笑いになる一方で、扱い方を間違えれば、単なる嘲笑になってしまう。だが、ガッツさんの場合、不思議とそこに痛々しさがなかった。

なぜなら、彼にはボクサーとして本物の実績があったからだ。世界王者としてリングに立って修羅場をくぐってきており、社会的な関心も高い常識人である。そういう人物がテレビの中ではとぼけた一面を見せて笑いを起こしていただけなのだ。

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