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ガッツ石松さん(76)「天然」でも痛々しくない不思議 世界王者の実績と、笑われ役を引き受けた"常識人"の器

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1974年、ロドルフォ・ゴンザレスから世界王座を奪取したガッツ石松さん(写真:ZUMA Press/アフロ)

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ボクシングの元WBC世界ライト級王者であり、引退後は俳優、タレントとしても長く愛されてきたガッツ石松さんが76歳で亡くなった。1974年にロドルフォ・ゴンサレスを破って世界王座を獲得し、5度の防衛に成功した伝説的なボクサーだった。

だが、多くの人々の記憶に残っているのは、ボクサーとしての彼ではなく、タレントとしてバラエティ番組に出演しているときの姿だろう。「OK牧場」「僕さあ、ボクサーなの」といった決めフレーズで知られ、独特の間合いで言葉を発し、場の空気を一瞬で和ませる天然キャラとしての一面である。

しかし、ガッツさんは単なる「天然キャラの元ボクサータレント」ではなかった。テレビの中で飄々とした雰囲気でとぼけた発言を繰り返す彼の姿から、世の中のことが見えていない無知で非常識な人間だというイメージを持っている人もいるかもしれない。

しかし、彼は全くそういうタイプの人物ではなかった。むしろ、一般的なイメージとは裏腹に、社会全体にアンテナを張っていて、貪欲に学びと実践を繰り返してきた。日常的に新聞や本を読み漁り、情報収集を続けていた。

重厚な社会テーマの作品を手がけた

映画にも強い関心を持ち、自ら企画、脚本、監督、主演を務めた作品を手がけている。90年公開の映画『カンバック』は、引退したボクサーが息子のために再び勝負の世界に戻っていく話だった。2012年公開の『罪と罰』は、妻を息子に殺された刑事を主人公にした重厚な社会派ドラマだった。いずれも芸能人の余技というレベルではなく、重いテーマにしっかり向き合った作品である。

スナック、サパークラブなどの飲食店経営に携わっていたこともあったし、政治家を志して衆院選に出馬したこともあった。彼はボクサーを引退した後も芸能界の中だけに閉じこもっていたわけではなく、常に社会に対する関心を持ち、さまざまな世界に踏み出していた。

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