人は「見たいものだけを見る」
人は、市場を見ているようで、実際には自分の見たいものだけを見ています。それは意図的な歪曲ではありません。むしろ、ごく自然な人間の働きです。
期待している未来。信じたい物語。努力が報われてほしいという願い。そうしたものが、無意識のうちに視線の向きを決めてしまう。市場に向き合う前に、人はすでに「理解の枠」を持ち込んでいるのです。
多くの人は、自分は事実を見て判断している、と思っています。しかし市場では、「見えている事実」よりも、「どう理解してしまったか」のほうが、はるかに強く行動を左右します。同じ統計データを見ても、安心する人と不安になる人がいる。同じ相場の下落を見ても、買い場と捉える人と、終わりだと感じる人がいる。違いを生むのは情報量ではありません。

