安倍首相への表敬訪問に「両親を同伴したい」
『リーン・イン』がらみで皮肉な話を一つ。シェリルの海外プロモーションにつきあわされて、私は各国を飛び回ることになった。行き先は日本だった。
日本はFacebookが昔から苦戦してきた国だった。日本での利用者数の伸び率は、ほかの国々と比べてずっと低かった。なかでももっともらしく言われている理由は、日本人は個人情報をネットにさらすことに抵抗を感じるからという説だ。
Facebookは日本で不人気なうえ、シェリルはCEOではないということ(日本は社会的地位や性別にきわめて敏感な国だ)もあって、シェリルがプロモーションツアー中に安倍晋三首相を表敬訪問したいと言いだしたとき、私は頭を抱えた。G7加盟国の首相と、その国で人気のない外資テック企業のナンバー2との面会なんてそう気軽にセッティングできないし、しかも面会にこじつけて本の宣伝をしようという魂胆を隠しているかもしれないのだ。
試行錯誤の末、私自身がFacebookに仕事を売りこんだときと同じだと思うことにした。「力になるよ」と誰かに言ってもらえるまで、何度でも繰り返しお願いし続けるのだ。『リーン・イン』は日本女性の就労継続と指導的地位への登用を促す“ウーマノミクス”政策の役に立つーー私は安倍事務所にそう売りこんだ。それが通った。安倍首相がOKを出した。
東京のホテルに到着した。こんな豪華なホテル、初めてだ。私は気後れした。シェリルが宿泊したザ・リッツ・カールトンの部屋は、私の自宅アパートの数倍も広かった。シェリルの子供たちやご両親も一緒に日本に来ることになって、私もご家族に会えるのを楽しみにしていたーー首相との会談にご両親を同伴したいとシェリルから言われるまでは。

