東洋経済オンラインとは
ビジネス

アップルはなぜAIを"作り直した"のか――Googleと組んで挑む、「誰もが使うエージェント」競争の勝算

11分で読める
講演中のティム・クックCEO
WWDCの基調講演に登壇したティム・クックCEO。9月1日にCEOを退くため、同職としては最後の登壇になる(写真:筆者撮影)
2/5 PAGES
3/5 PAGES

再開発のパートナーとなったのはGoogleだ。今年1月、アップルとGoogleは、GoogleのAIである「Gemini」をアップルのAI開発に提供することに合意した、と発表している。第3世代Apple Intelligenceはこのパートナーシップに基づいて再設計されており、結果としてリリースに足る能力を備えたことになる。

とはいえ、AndroidやPC向けに公開されているGeminiがそのままアップル製品に搭載されたわけではない。プライバシー対策などで、アップルとGoogleの考え方は異なる。そのため、アップルはGeminiをある種の教師データとしてApple Intelligenceを鍛え直して「別のAIモデル」を作った上で、クラウドでなく機器の中で処理が完結する範囲を増やし、プライバシーを保護する仕組みも整えた。AIの学習では、他のAIを手本にしてよりコンパクトなAIを作る手法がある。他社の許諾を得ずに行われる例も少なくないが、アップルとGoogleは正式な契約のもとに再学習を行っている。

Apple Intelligenceの中身。グラデーションで表現されている部分が、アップルとGoogleが共同開発した部分だ(写真:筆者撮影)

先端AIと競争するアップル・Google

これでアップルはAIでの遅れを取り戻した、と言えるのだろうか?

筆者の答えは「イエスでありノー」だ。ノーというのは「まだ遅れている」という話ではない。むしろ「これからが重要」というべきだろう。

消費者に対して先端のAIサービスを提供できていなかった、という意味でアップルは後れをとっていた。それが今回発表されたのは大きい。今秋以降にはまず英語からスタートし、そこから速やかに日本語を含めた多国語対応も行う、という流れだ。

一方で重要なのは、AIが消費者にとってどのくらいの価値を提供できるのか、という点だ。

この点ではどの企業も、ようやくスタート地点に立ったところである。ChatGPTは「チャッピー」とも呼ばれるようになり、多くの人にとって「気になることを相談する相手」になりつつある。社会問題も顕在化してきたが、多くの人に認知されているのは間違いない。

4/5 PAGES
5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象