再開発のパートナーとなったのはGoogleだ。今年1月、アップルとGoogleは、GoogleのAIである「Gemini」をアップルのAI開発に提供することに合意した、と発表している。第3世代Apple Intelligenceはこのパートナーシップに基づいて再設計されており、結果としてリリースに足る能力を備えたことになる。
とはいえ、AndroidやPC向けに公開されているGeminiがそのままアップル製品に搭載されたわけではない。プライバシー対策などで、アップルとGoogleの考え方は異なる。そのため、アップルはGeminiをある種の教師データとしてApple Intelligenceを鍛え直して「別のAIモデル」を作った上で、クラウドでなく機器の中で処理が完結する範囲を増やし、プライバシーを保護する仕組みも整えた。AIの学習では、他のAIを手本にしてよりコンパクトなAIを作る手法がある。他社の許諾を得ずに行われる例も少なくないが、アップルとGoogleは正式な契約のもとに再学習を行っている。
先端AIと競争するアップル・Google
これでアップルはAIでの遅れを取り戻した、と言えるのだろうか?
筆者の答えは「イエスでありノー」だ。ノーというのは「まだ遅れている」という話ではない。むしろ「これからが重要」というべきだろう。
消費者に対して先端のAIサービスを提供できていなかった、という意味でアップルは後れをとっていた。それが今回発表されたのは大きい。今秋以降にはまず英語からスタートし、そこから速やかに日本語を含めた多国語対応も行う、という流れだ。
一方で重要なのは、AIが消費者にとってどのくらいの価値を提供できるのか、という点だ。
この点ではどの企業も、ようやくスタート地点に立ったところである。ChatGPTは「チャッピー」とも呼ばれるようになり、多くの人にとって「気になることを相談する相手」になりつつある。社会問題も顕在化してきたが、多くの人に認知されているのは間違いない。
