人の動きは、意外と簡単に止まる。心に不調をきたし、仕事を長く休んだことがある友だちが、私には何人かいる。そういうときは、再び会える気力体力が相手に戻ってくるのを、待つともなく待つ。2カ月だったり半年だったり1年以上だったり、人によってまちまちだ。時間が経てば、たいていどちらからともなく「会おう」となることが多い。
会うと決まったはいいが、いつまで経っても相手が待ち合わせ場所に現れず、すっぽかされたこともある。
最初は驚いたけれど、いまでは慣れっこだ。腹も立たない。最初にすっぽかしてくれた友だちには、感謝している。それくらい疲れることが人にはあるんだって、私に教えてくれたから。会いたいという気持ちにうそがないのは、相手の人となりからわかっている。ただ、いまは調子が悪いだけ。
私の友だちは、みな運がいいのだろう。十分に休んだあと、ほとんどが元の暮らしに戻っていった。
まったく同じ場所ではないけれど、働きながら生活をするのに、なんら問題がない場所を見つけ、平和に暮らしている。だから、私はそんなに心配していないのだ、あなたのことを。気掛かりではあるけれど、闇雲に不安になるほどではないの。
月に1度くらい集まれるようになったのは、ここ半年だっけ。
あ、そんなでもないか。たしか、冬のあいだは具合が悪くて来られないときもあったもんね。3カ月くらいかな。去年よりずっと肌つやがいいと思うよ。散歩なんかに出たりはするの? お酒の量は増えてない? 夜は眠れてる? ごめんね、うるさく言っちゃって。
改札のサラリーマンを見て…
このあいだ、駅の改札に吸い込まれるサラリーマンを見て、「あれが本来のあるべき姿だな」なんてボソッと言ってたね。スーツを着て働いていたこと、あなた一度もないのに。
スーツ軍団がうらやむほどカジュアルな服装で、都内を颯爽と車移動していたじゃない。毎日同じ時間に電車に乗るスーツ軍団にだって、悩みはあるよ。あっちが一生正解、こっちが一生不正解ってことはないし。いまのあなたの優先順位第一位は、疲れが取れるまでじっくり休むこと。

