館長である谷口さん自身も2024年、新たに起業した合同会社「legato(レガート)」で、さらなるまちづくり事業に挑戦中だ。「まち」にかかわるトークイベントを開催したり、備後エリアのカルチャーやものづくり技術などについて発信する冊子を作ったりと、活動を地域へと広げている。
「中国地方最大のユースセンター」中高生が集まる理由
iti SETOUCHIには、中高生も多く集まる。
パブリックスペースを「まちなかの自習室」として開放し、中高生の活動をサポートする団体に拠点を提供しているからだ。若者たちはここを拠点に、1日限りのカフェを開いたり音楽フェスを実行したりと、さまざまなことにチャレンジしている。
「中国地方最大のユースセンターになっているのではないでしょうか。学校という小さな社会の中でふきこぼれている若者が、ここに来れば他の学校の子たちやこの場所で何かをしている大人たちとつながれる。福山には支えてくれる人がいる、地元で得られることがある。それを知って人生が変わった若者もいます。若者と向き合っているまち、というのがブランディングになったら福山はもっと伸びると思うんです」
かつて「ふきこぼれた」少年だった島田さんはそう言って、先日あった象徴的な出来事を付け加えた。
「備後地域の会社や行政が連携する会議の設立準備セレモニーが、iti SETOUCHIで開かれました。今までならホテルや役所のような、閉じた場所でおこなっていたようなセレモニーです。でも、ここには試験勉強中の中高生たちが大勢いたんですよ。その様子を見た市長は、『聞いてるかもしれないし、聞いてないかもしれないけど』と前置きし、若者に向けて『私たちは、若者たちが帰ってきたいと思う地域づくりと企業づくりをしなくてはいけない』といった趣旨の言葉で挨拶をしました。実際に若者が目の前にいると大人も意識せざるを得ない。この場所だから出た言葉だったと思います」
