オフィスの入居者には、コワーキングスペースを無料で利用できる特典もある。仕事に行き詰まったときや気分転換をしたいときにコワーキングスペースに行けば、他の人と話ができる。開催されるイベントに参加すれば、人脈が広がる。異業種交流や壁打ちが自然に発生する仕組みがあるのだ。
こうしてオフィス需要がさらに高まり、空き区画の問い合わせが絶えない。コワーキングスペースの月額会員数やドロップインの利用者数は、どちらも毎年およそ1.5倍のペースで増加中だ。
イベントは年78回→447回に激増
2022年度は半期で78回だったイベント開催数は、2024年度には447回に激増した。
「iti SETOUCHI 内のスペースをどう使うかをまず自分たちで試すため、無償で相談に乗りながら、共催の形でいくつものイベントを開催しました」(谷口さん)
開業直後は、企画内容、資金面、デザイン、情報発信などに、iti SETOUCHI のスタッフが8割程度関わってイベントを開催していた。しかし回を重ねるうちに、利用者が経験を積み、運営ノウハウを身に付けていく。
次第にスタッフが手伝う割合は減り、現在開催されるイベントの7割以上は、ほぼ手を貸す必要がないという。さらに、経験を積んだ利用者が、次にイベントを開こうとする人の相談に乗る循環も生まれた。年間400回ほどのイベントを開催できるのは、このように自律的な流れが軌道に乗ってきたからだ。
週末には複数のイベントが同時開催されることも多い。
「あるイベントに来た人が別のイベントにも足を運んだり、イベントの出店者同士で行き来したりと、この場所を接点として出会いがどんどん広がっています」(谷口さん)
出会いを広げるのは、イベントだけではない。iti SETOUCHIのスタッフは全員「コミュニティマネージャー」の肩書を持っている。情報のハブとして施設内外の店や人、企業をつなぐ、いわば「まちのインフォメーションセンター」の役割を担うのだ。
