就任後は笑顔の頻度も意識的に増やし、SNSへの投稿も積極化させた。
この転換が成功した。しかし、そこには重大な落とし穴があった。
トドロフ氏が「情動の過剰般化」と呼ぶ現象がある(※2)。人間の脳は、一瞬の表情の変化を、その人の「性格そのもの」として解釈してしまう。中立的な表情でも、怒り顔に似た顔立ちの人は「攻撃的・意地悪・威嚇的」と判断される。
笑顔を増やし、信頼性を高める。それは確かに効果的だ。しかし同時に、こんなリスクを生むーー笑顔が消えた瞬間、その落差が通常の何倍もの「不信感」を生む。
笑顔が消えた高市首相の表情は、もともとの支配性の高い顔立ちが前面に出る。その瞬間、視聴者の脳は自動的に「攻撃的・意地悪」という信号を受け取る。
「やっぱりそういう人だったんだ」という感覚は、理性ではなく、0.1秒で起動する脳の自動処理から生まれているのだ(※1)。
なぜ「支持」と「批判」が同時に生まれるのか
ではなぜ、強い顔を持つ政治家は、熱狂的な支持と激しい批判を「同時に」生むのか。
答えは2つの軸の構造にある。
支配性の高い顔は「有能に見える」。リーダーシップを感じさせる。実行力がありそうだーーこうした印象を持った人は、熱烈に支持する。
同時に、支配性の高い顔は怒り顔に近く、「信頼できない」と自動判断されやすい。怖い。何を考えているかわからない。裏がありそうだーーこうした印象を持っている人は、激しく批判する。
同じ顔でも、まったく正反対の印象を持つ人々が同時に存在する。これが「分断」の正体だ。
