「井出社長の家族によるこのような活動は当社との関係で何ら公正を欠くものではない」
マンガやアニメの制作現場で使われるペンタブレット大手のワコムは、5月13日付けのプレスリリースで、提出された株主提案に対する全面的な対決姿勢を打ち出した。
株主提案を行ったのは、イギリスの投資ファンド「アセット・バリュー・インベスターズ(AVI)」。社外取締役1人の選任と、社内取締役2人の解任を提案している。
提案した社外取締役候補は、タイヨウ・パシフィック・パートナーズで投資チームのディレクターなどを務めた洲濵陽一氏。解任議案はワコムの井出信孝社長と中嶋崇史COO(最高執行責任者)に対するものだ。
AVIは昨年も株主提案を行っている。昨年6月の総会では、社外取締役としてカナメキャピタルの槙野尚氏の選任を提案したほか、事業構造変革監督委員会の設置や自己株式の取得を掲げたが、否決されていた。AVIが出した議案への賛成率は最も高いもので30%台だった。
その後も含めてAVIはワコムへのプレッシャーを高め続けてきた。株主総会当日の昨年6月26日にワコム株式の保有比率を1%増やし、12%超となったという大量保有報告を開示、8月には13%超まで高めた。現在も株式数ベースで13.7%を保有する筆頭株主だ。
今年の株主提案では、昨年同様の社外取締役選任に加えて社長の解任へと一段ギアを上げたAVI。株主に対して業績への懸念表明に加えて、ワコムのガバナンス問題の指摘へと踏み込んだ。
社長の娘が会社のスペースでダンス動画を撮影
ワコムのガバナンスをめぐって、AVIが突きつけた問題は2つある。
1つは井出社長の子女(娘)が、ワコムの東京支社内にあるスペースで、継続的にダンス動画の撮影や練習を行っていることだ。
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