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18歳で消費者金融に走り、600万円を後輩に渡して上京…元ヤンキーが「全財産700円」から「福祉の最前線」に立つまで

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熊谷勇太さん
重度心身障害者や医療的ケアが必要な人でも入居できるシェアハウスを運営する熊谷勇太さん(写真:筆者撮影)
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世田谷区では「前例がない」と言われたものの、介護士時代から関係を作ってきた職員をたよりに、シェアハウス検討のための会議体が組まれた。そしてここでも、自分がやろうとしていることを繰り返し説明すると、最後は「何かあったら相談して」と言ってもらえた。

1棟目のシェアハウス「IDEAL上祖師谷」の外観(写真:筆者撮影)

2022年の8月。1棟目の「IDEAL 上祖師谷」をオープンすると、全国から応募や内覧希望などの問い合わせが数百通も届いた。

親が知らなかった本当の「その人らしさ」

施設ではなく、あくまでも「家」として設計したのは、熊谷さんが思い描いていた「暮らし」を大事にしたかったからだ。

毎食納豆を食べなければ気がすまない人は、ヘルパーとともに納豆を買いに行くのが散歩としてルーティンになった。親と離れ、自分の意思で金髪にした入居者もいる。

「親って、『あなたはこれが好きなのよね』っていう聞き方になってしまうから、なかなか希望を聞けていないんです。でもそれがヘルパーだったら、完全にフラットに聞けるんですよね。そうすると思いもよらない答えが出てきて、その人らしさが引き出されるんです」

デイサービスからシェアハウスに帰宅する様子(写真:筆者撮影)

言葉によるコミュニケーションが難しい子どもの場合は特に、親の中の記憶が、幼い頃のまま止まっていることが多いという。好きだと聞いていたものが実は全然好きではなかったり、ヘルパーと一緒に買い物に行くと、本人がそれまでと違う雰囲気の服を選んだりすることも。

「誰かに見てもらうのは申し訳ない」「この子は私が見なくては」という思いを抱えた親は最初、毎日のように子の元を訪れ、朝から晩まで一緒にいた。しかしだんだん安心して「子離れ」すると、それまで行けなかった美容室に行ったり、何十年かぶりに旅行に行ったりするようになる。

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【「いまだに『楽しい』しかないですね」】

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