東洋経済オンラインの有料会員読者向けリアルイベント「TK-HUB」の第2回が、2026年4月23日に東洋経済新報社本社にて開催された。テーマは「為替相場・日本経済の今後を占う! 円が映す日本の未来」。みずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏を招き、東洋経済コラムニストの野村明弘のモデレーションのもと、約2時間にわたる対談が行われた。
イラン情勢、トランプ政権、欧州中央銀行(ECB)の政策転換、動かない日銀、そして6月以降に襲来しかねない「貿易赤字の崖」――。混迷する世界情勢の中で、円と日本経済はどこへ向かうのか。会場限定で交わされた本音トークの模様をダイジェストでお送りする。
「有事のドル買い」と「ドル離れ」は矛盾しない
対談は、イラン攻撃以降の為替市場の急変の話題から始まった。26年2月28日を境に、それまでドル全面安だった主要通貨の動きはドル全面高へと一変。直前まで「ドル離れ」が国際金融市場の主要テーマとして論じられてきただけに、この潮目の急変は市場関係者の戸惑いを招いた。しかし、唐鎌氏の整理は明快だ。
野村明弘(以下野村):イランの紛争が始まってから「有事のドル買いがまた復活した」という報道が出ています。一方で、その前から「トランプでのドル離れ」も起きている。日本も米国債購入を減らしているという話も聞きます。どうも二項対立しているというか……。
唐鎌大輔(以下唐鎌):「有事でドルは強くなる?」と問われれば、答えはイエスです。でも10年後、20年後もそうかと言われたら、そうじゃないかもしれない。リーマンショックの時もパンデミックの時も、危ない局面では換金性の高い金や株が手放されて、流動性の高い米国債にいったん置かれます。短期的な資金需要の話と、外貨準備や年金資産をどの通貨で持つかという超長期の話は〝別の眼鏡〟で見る必要があります。
事実、世界の外貨準備に占めるドル比率は00年の70%超から56%台まで低下している(COFERデータ)。「ドルで持たないほうがいい」という空気が長期的に強まっているのは事実であり、目先の「有事のドル買い」とは話の次元が違う。ここで唐鎌氏が強く促したのが、「円相場はドル円ではなく実効相場で見るべき」という、持論だ。
唐鎌大輔(からかま・だいすけ)/みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト。2004年慶応義塾大学経済学部卒。JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会経済金融総局(ベルギー)を経て2008年よりみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。著書に『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』(日経BP社、2024年7月)、『「強い円」はどこへ行ったのか』(日経BP社、2022年9月)など多数。note「唐鎌Labo」にて今、最も重要と考えるテーマを情報発信中(撮影:梅谷秀司)
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