国語辞典の世界を離れ、汚れた金儲けの世界で投資を考えたとき、投資の最も基礎的な分類は、金融投資と事業投資であろう。この2つの違いは何か。
金融投資とは、その事業の主体にはならず、資本だけを提供するものである。影響を与えるとすれば、株主によるガバナンス(統治)として、ということであるが、多くはハンズオン(現場にも関与して支援する)せずに、アクティビスト(投資先企業の経営方針や事業に積極的に働きかける株主)を含め、ほとんどの投資家は、どんなに長くても数年でexit(株式などを売却して投資を回収すること)することを目指すから、値ざやを稼ぐ投資、つまり、国語辞典的には投機である。
超長期の金融投資は投機ではないだろう。国語辞典の定義としては、超長期とは、値上がりによる売却益ではなく、利回り、長期の事業収益を株主として配当を受けることを目的としているからだ。
死んでいない投資の本質とは何か
さあ、役者は出そろった。死んでいない投資とは、超長期であり、キャピタルゲインでなくインカムゲインを目的とし、金融投資でなく事業投資だ、ということだ。
当たり前のように見えるが、これらの本質はなんだろう?「え?今説明を受けたように、本質は超長期、インカムゲイン、事業投資、この3つだろ? どういう意味だ?」 と思うだろう。
では、5月13日に決算を発表し、同日時点で日本企業史上の最高純益(5兆0022億円)を達成したソフトバンクグループの過去の投資についてみてみよう。世界的な半導体企業であるアームホールディングス(HD)への投資はどう考えるか?あるいは、その前のアメリカの携帯キャリア会社スプリントへの投資は?そもそも、ボーダフォン(現ソフトバンク)への投資はどうなる?
アームHDは100%保有であるが、要は金融投資であり、事業としては買う前のまま維持した。スプリントは事業投資の様相だったが、結局売却、今では切り離し、大株主として参画している。人により意見は分かれるだろうが、私は、これらはすべて本質的には「本当の投資」ではない、と考えている。少なくとも、今、勧められる「本当の投資」ではない。
つまり、ほとんどの投資は「売るために買う」が、「本当の投資」は「売らないために買う」のである。
この点で、ソフトバンクグループの投資というのは、結局、買った値段よりも高く売る、ということに尽きるのである。ソフトバンクといえども、結局、大株主として、配当を受け取るものの、最大の価値は、ソフトバンクの株主時価総額のうちの持ち分に尽きるのである。実際に売らないにしても、その評価は、売るときの価格、時価、市場価格で評価されているからである。
そして、いまやソフトバンクグループの命運を握るオープンAIへの投資というのは、上場前の現時点でも、ほかの投資家たちからの評価価格で見た、時価の増加によるのであり、それが、昨年度の日本史上最高利益達成の最大の理由なのであり、命運を将来の他人からの評価にかけているのである。
つまり、「『本当の投資』ではない投資の本質とは、『他人の評価に依存した投資』」ということである。
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【「上場企業への投資」などはどう考えるべきか】
